華村の誘惑


『コート整備を行います。10分休憩を挟んでS2の試合を開始します。』

「ねぇ、本当にやるの?」

「やるわよ。」

若人弘親衛隊の1人が炭酸の缶を片手に意気込んでいる。

「アンタ若人くんが負けて悔しくないの?どーせあんな奴女の子から声かけられた事もないわよ。
振り向いた所にこれをひっかけてやる…。見てなさい…。」

ニヤリと笑い缶ジュースを持って海堂に近づく若人親衛隊その1。

「キャー海堂さーん。こっち向いてーバンダナがステキーvv」

「(ギロッ)」

「キャーゴメンなさーい!!」

親衛隊その1は持っていた缶ジュースを頭から被り走って逃げてしまった。

「ちょ…ちょっと待ってよ〜!!」

「…………何だ?」

「かーおるちゃん!」

が後ろからピョンと飛びついた。

「…先輩。」

「どーしたの?ボーッとして…。」

「あ…いや…。」

「ねぇ、リョーマ知らない?」

「…いや、知らないっス。」

「そう…どーこ行っちゃったのかなぁ〜?」

海堂に別れを告げキョロキョロしなから探すとボールの音が…。

「あ、そっか。アップしてるんだ…って…あれって向こうの顧問の…。」

はささっとしげみに隠れて2人の様子を見る事にしました。

「黙って見てられるとやり難いんだけど。」

「あら、気づいてたの。フォームを見ていたかったのに…残念。」

「またナンパ?」

「(ナンパ!?)」

は思わず立ち上がりそうになるのを必死で堪え、2人をじっと見ています。

「君の潜在能力は計り知れない。まだまだ伸びるわね。」

「フーン。」

「でも残念ながら青学にいたんじゃそれは望めないわ。惜しくない?」

「別に。」

2人が移動するのでもコソコソと隠れて追いかけていきます。

「じゃ、どう?神城くんに負けたらうちにこない?」

「ヤ」

「ちょっと!さっきっから聞いてれば何勝手な事言ってんのよ!」

ガマンできなくなったはバッと立ち上がってリョーマの所に行った。

先輩!?」

「あなたは青学のマネージャー?」

「そうです。うちのリョーマを誘惑すんのやめて下さい。」

はリョーマをぎゅっと抱きしめて華村をにらみつけた。

「誘惑だなんて…人聞き悪いわね。」

「だってそーじゃない。ともかく…リョーマは渡さないもん。」

先輩…苦しーんスけど。」

「あ、ゴメン!」

は腕に力が入っているのに気づき、抱きしめた腕をパッと話した。

先輩、そろそろ行きましょうよ。」

「越前くんさっきの話考えておいてね。」

「なっ…だから!」

諦めそうにない華村にが再度詰め寄ろうとするとリョーマがの手を引いた。

「俺負けないから。」

「リョーマ…。」

「行こ、先輩。」

「うん。」

は少し歩いて振り向くと思いっきり華村に向けてべーっと舌を出した。





「おチビー!お前と何やってたんだよー。」

「別に。」

ちゃん、頭に葉っぱついてるよ。」

背の高い河村がの頭の上に乗っていた葉っぱを取ってくれた。

「しかもジャージも汚れてるよ?何かあったの?」

「何でもないよ〜?リョーマ、頑張ってね。」

「もちろんっスよ。」

『ただ今よりS2の試合を開始します』

「何か今日おチビにいいトコ持ってかれてばっかり。」

「…英二はまだいいんじゃない?試合したんだから(ニッコリ)」

「……そーかも。」

結局やっぱり主人公は強しなのだった。





BACK   NEXT