黄金ペアVSサンダーボルト


「大石、今度は俺達の出番だ。ベストを尽くそう。」

「あぁ。」

緒戦を棄権した青学。D1はもちろん青学黄金ペア。
だが、大石の手首は未だ完治はしていない。この試合もどうなるのだろうか…。

『1セットマッチ城成湘南太田トゥサーブ』

「えい!」

「ほいさ!…おっ!」

英二が難無くリターンするもボールの先にはデカこと桐山の姿が。

「どりゃあ!」

「し…しまった!」

「ほいほーい!」

「大石!」

「(よし!狙うは右コーナー!)…何!?」

大石の狙いを読んだかのように桐山がボレーで決めた。

「彼、体が大きい割には動きが鋭いね。」

「あぁ、最小限に反応しているからネット際のボールはすべて2、3歩で届いてしまうだろう。」

「2、3歩!?」

は乾の言葉に驚いてコートの外から指で歩幅を測ってさらに驚く。

「あの長身を活かし、しかもリーチが長い。体をめいっぱい利用しているんだ。」

続けざまにボレーが決まるが黄金ペアはまだ余裕の表情。

「あの前衛そー簡単に抜けそうにないね。」

「あぁ。普通のロブは通用しないだろうな。」

「だったら…もっと高いロブしかないよね!」

リターンを英二が思いっきり高いロブを上げる。

「ん!?」

「よし!抜けた!」

「ひゅーーん!うらうら〜とう!」

「っあ!?」

「へ?!」

何と太田が桐山の背によじ登ってジャンプした。

「バヒューン!」

「どーだ!これが必殺サンダーボルトの破壊力だ!」

サンダーボルトに成すすべなくあっという間に1ゲーム取られてしまった。

「ところでよー前の試合でダンクスマッシュを打っている奴がいたが、大した事ねーよな。」

「ペーンペン!」

太田が青学を挑発するようにお尻を向ける。

「何よーあいつら〜〜!!!」

「俺のダンクが大した事ねーだと!?」

「桃やめろ。落ち着けって。お前さっきタンカで運ばれたばっかだろ?」

「けっ。熱くなってんじゃねーよ。あっちは2人だから当たり前じゃねーか。バカが。」

「何!?バカだと!?へなちょこスネークしか打てねー男がよ!」

「んだとコラ!!」

「やんのかコラ!うっ…うぅぅ〜〜。」

「ったく。大声出すからよ。ほら大人しくしてなさい!」

そうこうしている内にも試合は進みあっという間に0−2。

「おっしゃー!このまま一気に試合を決めっぞ!」

「うぃ。」

「乾ー何か弱点ないのー?」

「今の所は…それよりもっと気がかりな事がある。そうだろ?不二。」

「うん。」

「フーン。そういう事か。」

試合は今だ城成湘南中に流れがいっている。

「大石…。」

「ケガの遅れを取り戻そうとしてただけでなく、部長の穴を必死に
埋めようとするあまり腕に相当な負担をかけてしまっていたんだ。」

「そうでなくてもピンポイントで返球しなければならない相手。
あの大石の手首がいつまで微妙なボールコントロールに耐えられるか…。」

「痛む?」

チェンジコート中、英二が心配そうに大石の手首を見つめる。

「っ……大丈夫さ。心配ない。D2がデフォ負けしたんだ。
俺達が勝たなくてどうする。俺達黄金ペアの力、見せてやろう!」

「そだね。」

次のゲームは大石の機転が巧を奏してゲームキープ。そこから1ゲームずつ取った第7ゲーム。

「せりゃあ!!」

「なにお!!」

ラリーが続き大石は顔を歪めながらもキャノンボレーを打ち返した。

「ほう…桐山のキャノンボレーをまともにくらって打ち返す奴がいるとは…。」

「だが、そこまでだな…。」

そして待っていたかのようにサンダーボルトが決まる。

『ゲーム城成湘南5−2!!』

後がなくなった黄金ペアは不思議なフォーメーションを見せる。

「あれってオーストリアンフォーメーション…じゃないよねぇ?」

「あぁ。微妙に違うな。」

乾は試合を見ながらちゃっかりデータを取っている。

「前衛の英二はセンターラインを跨いでネットの高さより低く構えているし、
サーバーの大石もほとんどセンターに立っている。」

「しかも前衛がネットの下で大きくしゃがんでいるためサーブも打ちやすい。」

「通称…Iフォーメーション。」

「Iフォーメーション……。」

英二のボレー、2人のコンビネーションであっという間に1ゲーム奪ったのだが…。

「うっ…。」

「えっ!?」

カランカラン…大石が痛みでラケットを離し座り込んでしまう。

「あいつ…ケガ…してたのか。」

華村が桐山と太田に無言で合図する…そう。大石を狙え…と。

「あのペア…やっぱり大石を狙い出した。」

「あぁ…でも相手のペースにはまったら思うツボだよ。」

「頑張れ…大石…。」

がら空きのサイドがあっても執拗に大石ばかり攻める相手。

「大石!今からボールは全部俺に回す事!」

「え…でも…そんな事したら…。」

「いいから!俺が攻撃専門にまわるから大石は守備専門にまわってくれ。」

「で…でも…。」

危険な作戦に出ようとする英二だが、大石は頷かない…。

「つまり負けられないって事!全国へ行こう!」

「あぁ。」

パンッとハイタッチしてコートに戻る2人。

その後英二の作戦が成功し、そのまま7−5と逆転勝ち。





「大石!早くこっち来て。氷で冷やすから!」

「大丈夫だって。これぐらい。」

「ダメ!」

は大石の手首に氷を当てます。

「全く無茶するんだから。」

〜俺にも飲みもんちょーだい。」

「はいはい。」

試合後和む横では海堂が精神集中している。

「海堂…そろそろ出番だ。」

「いつでもいいっスよ…。」

「薫ちゃん負けないでね!」

「っス。」

「海堂、をナンパした奴なんだからコテンパンにしていいからね♪(ニッコリ)」

「……ふしゅ〜…。」

不二に脅しという名のプレッシャーをかけられた海堂だが、そんなものはもろともせず、堂々とコートへ向かった。





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