第61話 カウントダウン


「乾先輩!」
「乾!」

D2が始まってまもなくそれは起きた。
の心配が的中する。赤也のデビル化。

「…乾…!」
?大丈夫?顔が真っ青だよ?」

不二の腕に捕まって身体が震えるのを抑えている
準決勝の時の記憶が蘇ってきた。


あの時もそうだった。
全身が血のように赤く染まりショットも攻撃的になり相手を直接狙う。

「…準決勝の時もそうだったの…相手の選手が…。」
…。」

病院にも付き添うと言ったが、海堂が残って応援して下さいと言うので残る事に。
現在青学は2戦2敗。関東大会決勝と流れは同じ。



ここで終わるわけにはいかない。



「周助、頑張ってね。」
「もちろん。」

S2は不二VS仁王。
初めは不二が優勢で試合を進めるが、相手はコート上のペテン師。
そしてそのペテン師が手塚の姿とダブる。

「手塚…?あれ?手塚ここにいるよね?」
「…当たり前だ。」
「…どういう事?」
「俺ら全員ペテンにかかってるって事?」
「手塚変な気分じゃない?自分が向こうにいるって。」
「・・・・・・・。」

手塚は無言。
不二も困惑はしている。だが不二は目の前の相手との対戦を心待ちにしていたのだ。
不二は穏やかに笑い、目の前の『手塚国光』との試合を楽しんでいた。

「手塚国光も大した事ないのぉ。」
「今度はテニスのバイブル?!」
「白石くんになった!」

がキョロキョロと辺りを見回すと白石も他の四天宝寺のメンバーと驚きの目で見ていた。

「悪いけど…僕は一度戦った相手には二度と負けないから。」
「!?」



『ゲームセット!ウォンバイ不二!7−5!』



「周助が勝った!」
「よっしゃー!」
「リョーマ、周助勝ったよ!」
「あの…皆さんお上手なんですね。」
「…まだダメか。」

何度かテニスを思い出したかのような言動もあったが、未だ記憶は戻ってこない。
次のゴールデンペアの試合が終わればS1が始まる。
このままでは戦う所の話ではない。

「…越前…来い!」
「え、あの…。」
「桃?!」
「越前アップさせてきます!」

桃がリョーマの腕を掴んで立ち上がる。
試合に集中しながら視界の端に入れていたゴールデンペアも桃にリョーマの事を託す。

「桃!」
「…先輩…俺が必ず越前の記憶取り戻してきます。」
「…うん。リョーマ…。」
「あの…。」

はリョーマの手をぎゅっと握り自分の額にあてる。

「リョーマ。待ってるから。もう最後なんだよ…?だから思い出して?」
「……はい。」
「(?)」

不二はリョーマを心配するにしては少し様子がおかしいに目を向ける。
昨日から確かにどこかおかしかった。
それが何かはわからないが、不安に思って不二はの手を取る。

「周助?」
…どうかした?」
「どうって…リョーマは心配だけどちゃんと皆の事応援してるよ?」
「うん…そうだよね…。」
「…?大丈夫だよ。大石と英二なら勝ってくれる。
それで桃がリョーマの記憶を取り戻して最後決めてくれるから。」
「うん。」

も不二の手をギュッと握りニッコリと笑う。



選択の時が訪れる



最後のコールと共に・・・





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