第54章 帰還


山篭りをして早何日か…ある日の朝。

「あ。私今日帰らなきゃいけないから帰るね。」

「「「「え!?」」」」

突然が言い出した事に朝御飯を食べていた顔を上げた山篭り組。

「何で何で?何か用事あるの?」

「それがね。この山篭りの事ですっかり忘れてたんだけど…。」

が苦笑しながらぽつぽつと話し始めました。





先輩。」

「何?リョーマ。」

夏休みに入る直前の部活の休憩時間。

はリョーマに呼び止められ振り返ります。

「桃先輩に会場の下見しとけって言われたんスけど…。」

「会場?あ、全国大会のか。そーだよね。下見は重要だよね。」

先輩一緒に行きませんか?」

「…あ!リョーマ行き方わかんないんでしょー。」

「…まぁ、そんな所っス。」

がニヤニヤとして言うが…リョーマは軽くため息をついて頷く。

「私も全国大会の会場って見てみたいし。いつ行くの?」

「7月○×日に行こうと思ってるんスけど。」

「あ、大丈夫。何も入ってないから部活終わったら行こうか。」

「ういっス。」





「ってわけなの。」

「桃?(黒オーラ)」

「は…はい…。」

容赦ない不二の黒オーラに桃はタジタジ。

「ったくおチビの奴…。」

「まぁ、越前が行き方わからないって言うんだし…。」

「しょうがないでしょー。でもゴメンねー。言うの急になっちゃって。」

「でも何で思い出したの?今まで何も言ってなかったじゃん。」

「ケータイにメール来たんだよ。」

「でも先輩ここ電波ないとかってボヤいてませんでしたっけ?」

「何か昨日急に電波入るようになったんだよ。ほら。」

と言ってが見せた携帯の電波表示は見事に全開!

「…へー。越前の奴何使ったんだろうね?(ニッコリ)」

「周助じゃないからそんな事ないよー。」

ニコニコ笑いながら不二にそんな(英二曰く恐ろしい)事言えるのはだけです。

「だからね、朝御飯終わって片づけしたら一足先に帰るね。」

「えー俺らも帰るー!」

「ダメだってば。」

英二が少し膨れて言いますがにぴしゃりと言い返されます。

「せっかく特訓しに来てるんだもん。私のせいで特訓する時間減らしたくないし。」

「…わかったよー…。」

「お昼ご飯はサンドイッチ作って冷蔵庫に入れておくから自分達で食べてね。
後はー…ちゃんと帰る時は掃除して、管理人さんに挨拶してから帰ってね。後は…。」

、大丈夫だから。帰る準備してきた方がいいんじゃない?」

「げ。ホントだ。電車間に合わなくなっちゃう。それじゃお先に〜。」

エプロンを外しながらパタパタと部屋に戻るの後姿を見て英二がまずため息。

「…俺もと一緒に帰りたいー…。」

「まぁ、今日までの辛抱だからガマンしたら?英二。」

「…今日までってどういう事っスか?不二先輩。」

がいないんだからさっさと特訓切り上げて帰るつもりだけど?」

「「「…。」」」

もはや3人とも同じ意見なので不二の言葉に反論する余地もなかった…。





「お世話になりました。まだ残ってる人いるんで、よろしくお願いします。」

「またいつでもいらっしゃい。」

「ワン!」

「ワン!?」

荷物をまとめ管理人さんに挨拶を済ませたの耳に…あの鳴き声が。

「あ、ゴロー!」

「わーーー!!追っかけて来ないでーーーー!!!」

「ワンワン!!」

結局ゴローに追いかけられダッシュで帰ったでした…。



そしてが帰ったのと入れ違いに不二たちに届いた1件のメール。

あの男…青学最強の男…


手塚国光が帰ってきたと…





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