第49章 全国からの使者 |
『ゲームセットウォンバイ不動峰橘6−2!!』 「おー。不動峰が勝った!」 「当たり前だよ。皆決勝直前まで練習してたんだから。」 杏ちゃんのセリフが終わると同時に自分の肩に誰かの手の感触。 「なんね、いまん試合。」 「ん?誰?」 は自分の肩に手を置いた人物を見ようと顔を後ろに向かせた。 「今年の関東はショボかね。なぁ?」 「あんた誰?」 「桔平弱くなったばい。」 橘をファーストネームで呼ぶこの男…一体誰だ? 「千歳…。」 「あなたたっちーの知り合い?」 「…って事は橘さんっアイツが九州の…!?」 の声と被って神尾の声も聞こえてきた。 「桔平、一年前の方が強かったんじゃなかと?」 「…あなたそれ言いすぎじゃない?」 「ん?」 は肩に置かれた手をパッと払って千歳を睨みつける。 「たった1試合しか見てないのに判断するなんて失礼よ!」 「ちょっさん落ち着いて!!」 不動峰のメンツが出てきてまくしたてるを必死で押さえる。 「いいんだ、。」 「たっちー…。」 「また全国で会おうな。楽しみにしてるばい。」 の方に向かってニカッと笑って下駄をカラコロ言わせて行ってしまった。 「何あいつ…ともかく…おめでと!表彰式で会おうね♪」 「ちゃん…さっきの人の事…。」 「どしたの?杏ちゃん。」 「…ううん。何でもない。気をつけてね。」 「うん?またね〜♪」 キョロキョロ辺りを見回しながら走って行くと急に目の前が暗くなった。 「いてぇ!」 「うわっ!…あーゴメンなさい。ちゃんと前見てなくて…。」 「あ、お前青学のマネージャー。」 「あなたは…えーっと立海の丸井くん?」 「ブン太でいいって。」 …さっきまでの対戦相手だったのでお互い気まずそうに顔を伏せる。 「この前はおにぎりサンキューな。」 「あ、え…うん。」 「後さ…」 「〜〜!!!」 「英二!」 まだ聞いてなかった名前を聞こうと思ったブン太の発言は英二の叫びに遮られる。 「、遅いから心配したよ。」 「周助も。ちゃんと帰るってば〜。」 「…キミ、に何か用?(開眼)」 不二が開眼してブン太を冷たい目で見る。 「…ま、名前聞けたからいっか…。」 「え?」 「!また全国で会おうぜ!」 「…うん。またね。」 はひらひらと手を振って走り去るブン太を見送った。 「先輩、何時の間に丸井さんと仲良くなったんスか。」 「桃。あれ?皆も。どうしたの?もうすぐ表彰式じゃない。」 「ちゃんが中々帰ってこないから迎えに来たんだよ。」 「もー。皆心配性だな〜。ただ試合見てただけだってば。」 試合を見てただけじゃなくて千歳にも絡まれましたけどね。 「何か全国楽しみになってきた〜。」 「どうしたんスか?急に。」 「ん?別に何もないけど〜。」 「…いや、何かあった確率89.96%だな。」 「何もないってば〜。」 「…厄介事はカンベンしてくれ。」 「もー。大石までー。そんな事ないってば。ねぇ?」 「ふしゅぅ〜…。」 「…ってか行かなくていいんスか?表彰式。」 リョーマに言われ時計を見ると…表彰式開始まで残り1分。 「「「「「「あ!!」」」」」」 「皆急げーーー!!」 ダッシュするレギュラー陣の後ろからパタパタと追いかけていく。 それを見つめる…先ほど不動峰戦を見ていた…千歳。 「…ま、何とかなると…ほんまに楽しみばい…。色々とな…。」 ニヤッと笑うと煩く鳴る下駄を気にせず関東大会会場を後にした…。 BACK NEXT |