第48章 最後の砦(2)


『ゲーム真田5−1!!』

「ここで棄権させないと青学はとんでも無いものを失うんじゃないかな。」

レギュラー陣の隣で見ていた千石がポツリと呟く。

「千石くん…。」

「「「「まだまだだね!」」」」

「へっ?」

レギュラー陣全員でリョーマの決めゼリフを言ったので千石はぽかんと驚く。

「わかってねーな、わかってねーよ。千石さん。」

「ほら、リョーマ見てよ。こんな時でも…笑っちゃうんだから。」

リョーマはいつもの不敵な笑みを浮かべ…とんでもない事を口にする。

「やっと弱点見つけたよ…『風林火山』。ちょっと打ってくんない?」

「ほう…口の減らない奴め。」

「はっ!」

「負けず嫌いもそこまでくると見苦しいわ!!」

そしてまた真田が風林火山の『火』を打ったかと思うと…



次の瞬間には真田のコートにボールが打ち込まれていた。



「いてて…。」

リョーマの陣営には体全体を張って受け止めたリョーマが尻餅をついていた。

「(コイツ…一瞬だけ無我の境地になり風林火山に風林火山をぶつけたな。)」

「ねえ…『風林火山』の残りの2つ早く出してくんない?」

己の中の敵に気づかぬ真田は…これで究極の奥義を封じられた。

「俺は…アンタを倒して全国へ行く!」

手塚が見込んだ男は…チビだけどいつの間にか青学を支えていた…。





『ゲーム越前2−5!!』

「風林火山を封じればこっちのもんじゃん!いけーっおチビ!」

だが、リョーマの身体は感じ取っていた。一瞬でも攻撃をやめれば一気に試合を決められてしまうであろう事に…

「おおおおおーっ」

「(何だ…打球のスピードが増してきている!?)」

『ゲーム越前3−5!!』

『ゲーム越前4−5!!』

「よし!後1ゲームで追いつく!」

だが、リョーマの一瞬の隙をついて真田はロブを上げる。

「(しまっ…)」

『15−0!』

2回3回と同じ所に立て続けにロブをあげてくる。

「凄い…。」

「あいつも経験を積んでるからな。100回だって同じ所に返すだろう。」

そう。これが百戦錬磨…中学テニス界皇帝真田弦一郎の実力。

「マッチポイントだ…。」

「あー!またおチビの奴前に…!」

「越前ーーーっ!!」

「(俺は攻め続けてやる!!)」

だが真田は容赦なくロブを…打ったのだが…アウトとなる。

「(球威に押された…!?)」

「まだまだまだーっ!!」

その次のポイントも続けて取ったもののまだ真田のマッチポイントである。

「Well, here we go ?(さぁいこうか?)」

「…俺はそれを使いこなせる奴を三人知っている。我が立海の幸村。
九州の千歳…そして我が心すでに空なり空なるが故に無。…俺だ!」

最後の最後でとんでもない奥義を出してきた真田。会場は騒然となる。

「(お前のテニスの弱点は…その爆発的能力を生かしきれてない事。
それ故に致命傷となる反撃を喰らいやすい。さらばだ越前リョーマ!)」

「!」

トップスピンロブにリョーマは何を思ったか審判台に登ってジャンプする。



「COOLドライブ」



今までずっと特訓してきたリョーマの新必殺技

これが決まれば流れがまたリョーマに戻ってくる

青学ベンチは誰もが信じ、祈っていた…





だが…





「なっ!?」

「これで終わりだ!」







失敗だったのだろう。ドライブBと同じように跳ねたボールを難なく返した真田に…最後のポイントが与えられる。



『ゲームセットウォンバイ真田!6−4!!』





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