第48章 最後の砦


「ねえ…全国にはアンタみたいな化物ゴロゴロいるんでしょ?

今のうちにパワーリスト外しておいた方がいーんじゃない?」

「安心しろ。鉛は抜いてある。」

リョーマの挑発を何とも思わず冷静に受け返す真田。

『ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ越前サービスプレイ』

「Is that so? Well, whatever you say.(あっそ!じゃあそうさせてもらうよ)」

真田を睨みつけたかと思うと…3日前と同じように英語で喋りだした。

「あの時と一緒だ…。」

「あの時?先輩それって…。」

桃の問いかけに答える事なくはリョーマを見つめる。

「Here goes!(いくよ!)」

「来い。ひねり潰してやるわ!」

序盤から無我の境地を巧みに操りリョーマは立て続けに2ポイント奪う。

「(ほう…なかなか強い奴らと戦ってきたようだな。だが俺は全国の
様々な強者と戦いお前の何倍も修羅場を潜って来たのだ。
そしてそいつらは全て俺の前に平伏した。例外は無い…お前もだ!)」

3ポイント目。リョーマはアプローチを打って前に詰めようとする。

「微温い。」

「!」

気づいた瞬間には…もうボールはリョーマの後ろに転がっていた…

「英二先輩……?い、今の真田のスイング見え…」

「…」

英二は桃の問いかけに答えず自分の目をごしごしと擦った。

「疾きこと風の如く…」

風林火山。真田の究極奥義の1つ目の『風』…その速さは…尋常ではない…





だがそれを見たリョーマは無我の境地で神尾の走り、伊武のスポット…
そして今さっき受けたばかりの真田の『風』まで出し1ゲームを奪った。

『ゲーム越前1−0!チェンジコート!!』

「どうやらお前も思い出した様だな。」

ベンチに座っている赤也に向かって真田は余裕すら伺える笑みを浮かべていた。

「へへへ…」

「だが…無我の境地を本当に見ておかねばならんのはここからだ!」

謎の言葉を残し真田は再びコートへ戻って行った。

「いっけぇぇーーっ!!」

「グレイトーッ俺の両手波動球!!」

序盤から攻め続け逆に真田を押し始めたかのように見えた頃ある異変に気づく。

「ねぇ…リョーマまだ試合始まったばかりなのに…すごい汗。」

「確かに。1ゲームが終わったばかりのはずなのに…異常な汗だな…。」

そう…これが真田の言っていた…無我の境地の副産物というべきもの。

『15−0!!』

「越前が崩れ落ちた!物凄い疲労だ!!」

「どうした、もうおネンネか?」

「にゃろう…。」

「ところでお前風林火山の『風』…破ったつもりじゃあるまい。」

「!?」

「本当の『風』はさっき見せたものより…3倍疾いわ。

あっという間に逆転され、次々とポイントを奪われていく。

「所詮この程度か。お前を買い被りすぎていた様だ!」

「にゃ、にゃろう…」

『ゲーム真田3−1!!』

リョーマの足はガクガク震え立っているのがやっとという様子。

「…リョーマ…。」

、大丈夫だよ。」

自分の前にある手すりと隣にいる不二のジャージを強く掴む

「時間の無駄だ。」

「まだまだっ!!」

「侵掠すること火の如く…」

「!」

「フハハハハハハ!!絶望と共に散るがいい!」

風林火山の火まで出した真田は…立て続けにゲームを取り、
気づいた時にはリョーマは既に4ゲームも離されていたのだった。





BACK   NEXT