第45話 ペテン師'sVS黄金ペア


「英二!!」

試合開始直後、柳生の打ったボールが仁王のフェイントによって
英二の顔面を直撃し、英二がコートに頭をぶつけてしまった。

「英二!・・・どうしよう周助、英二が・・・。」

「大丈夫だよ。英二はこんな所でつまづく奴じゃないから。」

「でも・・・。」

が不安げにコートを見ると。突然英二が担架の上から飛び起きた。

「お前なんかこの菊丸様のアクロバティックで成敗しちゃる!」

「英二!」

「ね、だから言ったでしょ?」

最初のアクシデントをもろともせず、ノーサインコンビプレーでゲーム先取。

「やったー!このまま青学ペースで」

「・・・いやまだ柳生のアレが出てな・・・」

「「!!」」

乾がそう呟いた途端ものすごいスピードのショットがコートを貫いた。

「で、出た・・・柳生の一撃必殺『レーザービーム』」

「英二と大石が反応できないなんて・・・。」

「さすがに速いな。あのパッシングショットは・・・。」

「とんでもねぇ二人の間を的確に射抜いてくる。」

「レーザーを意識しすぎると攻め方も消極的になってしまうしね。」

人並み以上の動体視力を持つ英二でさえ対応できないレーザービーム。

「かなりヤバイ状況だよ。」

「う・・・頑張れ・・・。」

『ゲーム立海1−1!!』

「一方的に押され始めたな。」

氷帝メンバーと見ていた宍戸が呆れた声で言う。

「意地になってスピードボールに応戦したってあのレーザーにゃ
手も足も出ないだろうよ。いまや完全に立海が試合を支配したな・・・。」

だが、それも大石の作戦だった。あえて緩急を使わずスピードに応戦していたのは
英二をレーザービームの速さになれさせるための大石の周到な作戦だった。

『ゲーム青学2−2!!』

「やった!追いついた!!」

そして黄金ペアはオーストラリアンフォーメーションで更なる追い討ちをかけようとした。

「でも・・・まだ捕れない打球があるじゃんよ。ねぇ、柳生先輩・・・。」

赤也がそう呟いたかと思ったら・・・仁王が・・・柳生ではなく仁王がレーザーを打ってきた。

「やっぱり本物のレーザービームはケタ違いの威力やの・・・柳生。」

髪の毛をぐしゃぐしゃにしながらレーザーを打つ仁王に近づく柳生。

「(じゃあ今までレーザーを打っていたのは仁王・・・!?)」

「プリッ」

まさにメガネを外す柳生・・・いや、仁王のその姿はコート上の詐欺師そのものだった・・・。





仁王の罠にハマった黄金ペアは立て続けに相手にゲームを奪われていく。

「キタネー騙してたなんてよぉ!」

「いーや、荒井よ。相手の裏をかくのはテニスの戦術の一つだぜ?それに・・・
あのレーザーをあそこまで打てる実力は只者じゃねーな、只者じゃねーよ。」

「駄目だぁ・・・やっぱ王者立海に勝てるハズなかったんだよなぁ・・・・・・・・・。」

「オイ、今何つった?」

ボソッと縁起でもない事を呟く堀尾の胸倉を海堂が掴んで持ち上げる。

「薫ちゃんやめなさい!・・・堀尾も、余計な事言うもんじゃないわ。」

先輩・・・。」

はコートの方を・・・黄金ペアを見つめたまま静かに言った。

「とんでもない詐欺にかかったねぇ。でもお前さん達このまま終わるつもりじゃ
ないだろうね?あのフォーメーション今使わなくていつ使うんだい?」

「あのフォーメーション?」

竜崎が言った新しいフォーメーション。密かに黄金ペアが練習していたものだ。

「俺達は勝つ為に来た!」

「そう、勝つしかないっしょ!!」

柳生のサーブ後、黄金ペアは陣形を入れ替えるように前後に走った。

「え、大石が前衛で英二が後衛??どういう事??」

「クスッ。この土壇場で凄い事するなぁ♪」

大石が相手に近い場所から英二にサインを送り、英二がステップで取りに行く。

「これが黄金ペアの超攻撃型陣形・・・大石の領域。」

「しかも柳生のレーザーまで封じているとはな・・・・。」

「やっぱり凄いんだ・・・黄金ペア・・・・2人ともー!頑張れーーー!!」

も立海の応援団に負けじと必死に声を張り上げる。

『ゲーム青学4−5!!』

「(確かに一方のレーザーは封じられました・・・しかし・・・)」

まだ何か仕掛けるつもりなのか、柳生と仁王は目配せしあう。

「・・・・・うっ。」

「駄目だロブは仁王は囮だぁーーーっ!!」

「君達はまだ・・・・・・私のレーザーには触れる事すら出来てませんね。」

「奴のレーザーは一撃にて流れを変える。」

だが、フェイントでドロップショットを打って来た。大石が執念で返すが・・・・

「これにて終わりです・・・アデュー。」

「まーだだよっ!!・・・・・・菊丸バズーカ!!」

ステップで後ろに分身した英二がついに真のレーザーを打ち返した。だが・・・

「くっそー!ネットかー!」

「ドンマイ英二、次決めていこう!」

「オオーッ!!」

「ダブルスって・・・本当にすごいね。」

?」

「大石が言うようにダブルスには本当に無限の可能性があるんだ・・・。」

がぽつりと言ったセリフに不二はにこやかに微笑む。

「そうだね・・・きっと大石達がそれを証明してくれてるんだよ・・・。」





『ゲームセット!!ウォンバイ立海6−4!!』

ダブルスを2個とも落とした青学。だが、しっかりと立海に爪痕は残して行った・・・





BACK   NEXT