第41章 リョーマ覚醒


「一気に3本ともガットが駄目になるなんて珍しいな。」

「そースね。ちょっと張り換えに行ってもいいっスか?」

「ああ・・・ただしラケット3本一気にやってくれる店は・・・この近辺には無いな・・・・・・
となると23.8キロ先にスポーツショップがある。走って行けば4時間で帰ってこられるだろ?ほれ、地図だ。」

「よ゛!?」

口答えしようとしたリョーマだが乾が後ろ手に隠している物が見える・・・。

「い・・・行ってきまーす!」

「越前、走って行くのか?パワーアンクルの鉛は1枚にしておいたからな。」

「・・・・・・・・・・」

リョーマと3年達のやりとりを見てはふとある事を思いつく。

「桃!自転車のカギ貸して!買い出し行ってくる。ちゃんと帰りまでには返すから〜!」

「・・・俺のカバンのポケットに入ってますよ。」

「ありがと〜。」

は急いで部室へ向かう。

の奴・・・・随分心配性だな。」

「あぁ、買い出しって言いながらどこへ向かうか丸分かりだな。」

「ま、そこがのいい所なんじゃない?」

が部室に戻ると不二が立海戦のビデオを見ていた。

?どこか行くの?」

「うん。桃の自転車借りて買い出し。あ、あった!じゃあ周助、行ってきます!」

お目当てのカギを見つけて、は不二と二言三言話して走って出て行った。





「ホント冗談じゃないよあの先輩達・・・フゥーッこれでやっと」

「あ、リョーマ!いたいた〜。」

先輩・・・どうしてこんな所にいるんスか?」

リョーマはいるはずのないを見て目を見開く。

「リョーマを追いかけてきたんだよ。ほら。」

「桃先輩の自転車・・・けどよくここまで来れたっスね。」

「すごい疲れたよ〜。リョーマ中々見つからないし。はい、これ差し入れ。」

「どーも・・・・・・・・・!」

「?」

リョーマはの後ろのどこかで見覚えがある姿にぎょっとした。

「ほんとあとは雑魚ばっか。本当のテニスができるのって手塚さん位でしょ。」

「ねえ・・・俺にも本当のテニスって奴教えてくんない?」

リョーマは階段の下から見覚えのある奴・・・切原赤也を挑発している。

「高くつくかもよ・・・・・・越前リョーマ。」

「リョーマってば。帰らないと皆心配するよ?」

先輩は先帰っていいっスよ。」

「・・・・駄目。私も行く。ちょっと心配だもん。」

こうして、立海の切原赤也と急遽試合をする事になったリョーマだった。







神奈川県某テニスクラブ・・・コートに立つ2人とは裏腹にの顔は既に泣きそうである。

「リョーマ・・・お願いだから無理しないで・・・・。」

『ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ越前サービスプレイ!!』

ポーンポーンポーンとリョーマがボールをつき赤也めがけてツイストサーブを打つ。

「(いきなりツイストサーブかよ!!・・・氷帝戦のときより回転数が増し)」

「あ!」

ゴッっと見事赤也の顔面にボールが的中。

「まだまだだね。」

「フフフ・・・アッハッハ!!お前潰すよ・・・」

リョーマも赤也もお互いに一歩も引かず、互角のラリーを続ける。

「おい越前リョーマ。そろそろパワーアンクル外したらどーだ?」

「アンタも両腕のパワーリスト取ったら?」

「え、いいのvv取ると監督がウルさいからなあ。まあいいや。」

「ジャマなんだよね。先輩、ちょっとこれ預かってて。」

「あ、うん。」

が、パワーリストを取った赤也は先ほどとは比べ物にならないスピードとパワーを出す。

「すごい・・・あれがあいつの本気・・・・。」

「クク・・・あれが赤也の本気?」

「・・・」

はいつのまにか隣に来た立海のハゲ頭をムッと睨みつける。

「・・・や・・・やばいぞ・・・。」

「何がよ。」

がそうハゲに聞いた瞬間赤也の放ったスマッシュがリョーマの膝に直撃する。

「リョーマ!」

『ゲーム切原1−0!!』

「へぇ、凄ぇじゃん。とっさに膝の急所を外すとはな。正直ここまで
やるとは微塵も思わなかったよ、越前リョーマ。でも・・・バイバイ。」

「まずい!ナックルサーブ!!アイツマジで相手選手を潰す気か!?」

「何ですって!?」

はガシャンと金網を握りしめる。赤也は執拗にスマッシュやサーブでリョーマの膝を狙う。

「・・・ちょっと・・・同じ学校でしょ。止めてよ。じゃないとリョーマが・・・。」

「俺に言ったって無駄だ。赤目の赤也は誰にも止められない。」

涙目で隣のハゲの服を掴んだにハゲは一瞬驚くがふるふると首を振る。

『ゲーム切原4−0!』

「もう駄目よ!リョーマ!ムリしないで!」

「・・・・・・に、にゃろう」

は泣くまいと必死に堪えてリョーマに叫ぶがリョーマは果敢にボールを取りに行く。

「これでその右足は終わり!」

「(・・・く・・・くそう)」

スマッシュが自分に向かってくる瞬間、リョーマの脳裏に今までの試合がよみがえる。



そして一瞬のうちにボールが・・・・赤也のコートにつきささる。

「・・・・リョーマ・・・・一体どうなってるの・・・・?」







「You still have lots more to work on...(まだまだだね)」







ついにリョーマの中の眠れる『サムライ』が覚醒した・・・・





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