第40章 もう1つの準決勝 |
「よろしくお願いしまーす。」 剣太郎がぺこりと音の出るようにおじぎをすると海堂も挨拶をする。 「ああ・・・よろしく。」 「おや・・・意外と海堂のヤツ冷静だな。」 「それだけあの1年生要注意って事だね。」 はキョロキョロと辺りを見回す。 「どうしたんスか?先輩。」 「リョーマは?」 「あいつならさっきアップしに行くって言って走って行きましたよ。」 「ま、いっか。呼びに行けばいいんだし。」 海堂がリョーマに言った言葉・・・気になるが、今は試合に集中しなければならない。 「おおーーーっ何だあの打球は!?」 海堂のスネイクに会場全体がざわめく。 「薫ちゃん連続スネイクだ!」 「それにしても海堂、少し飛ばしすぎじゃないか?」 河村の心配の声をよそに海堂はブーメランでゲームをブレイクする。 『ゲーム青学3−0』 「さっすが薫ちゃん!」 「負けらんねーよな。特に1年には。」 桃の言葉通り、1年には負けていられない海堂。そして、サービスゲームもキープ。 『ゲーム青学4−0!!』 「ふしゅぅ〜・・・。」 4ゲーム連取でも海堂は決して余裕は見せない。むしろ更に冷静さを増す。 「あれ?がいない。」 「本当だ。さっきまでそこにいたのに・・・・。」 乾の隣にいたがいつのまにか忽然と姿を消した。 「先輩の事だから・・・きっと越前を探しに行ったっスよ。」 「・・・・だが、どうやら越前の出番はまだまだかかりそうだ・・・。」 コート上では剣太郎が屈伸や開脚をしたり、余裕さえ見せる行動をしている。 「乾・・・葵君の今までの試合結果を教えてくれ。」 「ああ。」 差し出されたデータノートには・・・・剣太郎の驚くべき試合結果が記されていた。 「あれ〜?おっかしいなぁ〜。リョーマそんなに遠くまで行ってないはずなのに・・・。」 はトテトテ走りながらキョロキョロとリョーマを探す。 「あ、いたいた。おーい。リョーマー。」 「先輩。どうしたんスか?」 「薫ちゃん結構試合早く決めそうだなって思ったから呼びに来てみた。」 「へぇ〜さすが海堂先輩。」 ニヤリとリョーマが笑うとすぐ近くのコートで歓声が聞こえる。 「フーンもう一つの準決勝ね・・・・。」 「スコアだけでも確認して行こうか。」 ワァアアアアアアアアアアアアと周りの観客が歓声をあげる。 「え・・・・うそ・・・・。」 『ゲームセット!!ウォンバイ・・・・・・・・・立海大附属切原6−1』 はチラッと横にあるスコアボードを見る。 「D2 0−6、D1 0−6、そして今のS3が・・・・。」 「1−6っスね・・・。」 リョーマはコートから目を離さないでに言う。 「こんな・・・こんなに強いの?あの不動峰が・・・・。」 「確か・・・橘さんって・・・・全国レベルだったっスよね。」 「うん。九州地区2強の1人と謳われていた・・・・だから手塚レベルだよ。」 けれどその橘でさえ1−6と惨敗している。 「あ・・・そ、そうだ。リョーマ、早くコートに戻ろう。」 「・・・そうっスね・・・」 2人が帰ろうときびすを返すとそこには圧倒的存在感の立海大附属レギュラーの姿。 「(立海大附属・・・・)」 の顔が少し青い…立海大の姿に圧倒されてしまったのだろうか? 「・・・・先輩?だいじょぶっスか?」 「・・・・あ、うん。早く皆の所に帰らないとね。」 「・・・・・・・・・。」 早くと言いながらも少し涙目になったとリョーマは早足でコートに帰った。 「先輩!越前!」 「ちゃん、どこ行ってたんだい?」 「リョーマ探すのに手間取っちゃって・・・って薫ちゃん!?」 試合を見ていなかったせいか、海堂の流血を見て慌てる。 「・・・・どうって事ないっス。」 「ったく無茶しおってバカ者。」 「薫ちゃん!早く来て!手当てするから!」 は救急箱を取ってきて早速海堂の手当てをする。 「?何かあった?」 「え?別にないよ?」 カンの鋭い不二がに聞くが、は笑って答えて海堂の手当てを続ける。 「なんか変〜。おチビー。と何かあったんじゃないの?」 「別に何もないっスよ。」 リョーマもそう答え帰りの準備をし始めた。 「ふーん。何か変なの。」 「ちゃん元気だけど・・・何かさっきと違うね。」 「一体どうしたんスかね。」 レギュラー陣はとリョーマの変化に疑問を抱くが、その答えは・・・翌日明らかとなるのだった。 BACK NEXT |