第39章 更なる進化 |
D2を逆転勝利で終え、次はD1。この試合は最初から荒れる事となった。 「まさか不二今度はダブルスで当たるとはね。」 「そうだね。」 「あっ。菊丸のアクロバティックには注意しとかなきゃ。」 英二はその言葉にも表情を崩さなく、ポーカーフェイス。 「お喋りはその位にして、さあ始めましょうか。」 佐伯のパートナー樹が声をかけ試合はスタートする。 「ほいっ!!」 「よし!英二がネットに出た!」 が、すかさずロブが上がる。 「英二まかせてっ!!」 「サンキュー不二!!」 「フゥーンやるねぇ!」 英二を前に出し、不二と樹がベースラインでの打ち合いを続ける。 「・・・う、うまい・・・。」 「どうしたの?乾。」 試合を見ながらデータを取っていた乾が樹のボールを見て驚く。 「樹が不二の攻めたい所で回転を掛けない球シンカーを打ってくるから不二は三種の返し球を打てない。」 「でも、ほら!英二がいるし!」 「頼みの綱の英二も佐伯がしっかりマークしている・・・。」 D1。今回はまたの名を局地戦と呼ばれる高度な試合となっていった・・・・ 「俺は抜けないよ。」 「(マンツーマンでマークして抜かせないつもりか・・・ようし絶対抜いてやる俺のアクロバティックで!)」 英二はポーチに出てアクロバティックボレー。が、読まれたようにそこには佐伯の姿。 「あーダメ!マークされてる!!」 「だから俺は抜けないって・・・・!?」 柔軟な動きで捕球体制に入る英二を見て佐伯は驚くが冷静に逆サイドに打つ。 『15−0』 「アクロバティックが封じ込められてる。」 「そして不二までもが・・・あの樹の回転ナシで『三種の返し球』を封じられている。」 「相手はトップスピンを打ってこない・・・周助のつばめ返しは効かな・・・あ!!」 が不二の方を見ると試合中何度か見かける・・・あの構えを見せる不二。 「無理だトップスピンじゃない打球につばめ返しを・・・・・・!」 「(ラケット面を滑らせて・・・回転を掛けている!?)」 「そうかっ自分で必要な回転を作り出しそこに超スライスを掛けるつもりだ!!」 「つばめ返しは回転がなくても打てるって事!?すごーい周助!」 ネットではあったがが、樹に打ち返されてしまう。 「(もっと回転が必要だよね・・・)」 「樹ちゃん今度はラケットを縦に使ってきたよ!姿勢を低く!」 「(サンキュー佐伯!)」 樹の完全に打ち返してきたボールを不二も打つが・・・佐伯にドロップボレーを打たれてしまう。 「ダメじゃん菊丸・・・俺をフリーにしちゃ。」 「おおおーっ!!完全に六角のペースになってきたっ!!」 『ゲーム六角3−1!!』 「マズイぞ・・・不二は今2対1で戦っている。」 「佐伯は菊丸をマークすると同時に更にフリーになり不二にも揺さ振りを掛けてきている。」 シュルンシュルンパシィ。不思議な音に六角サイドはその行動を笑う。 「だいじょうぶ!本気モードの英二だもん。絶対だいじょうぶだよ!」 はこぶしをグッと握って試合中の2人を見つめる。 「何やったってサエのマークは外せないよな!」 そして佐伯は完全に菊丸を抜き去る。オープンへのボレーも完璧だったはず・・・が、しかし 「ほいっ!!」 思ってもいない場所にそいつは現れた。 「あ・・・あれ?今英二が・・・・。」 「(何も進化したのは桃やタカさんだけじゃないんだよ!)」 「「き・・・菊丸が2人いる!?」」 会場全体が驚く中、英二は軽々とボレーを決める。 「うおおーーっ英二先輩やるぅ!」 「英二すごい!カッコイー!!!」 「おまたへ不二っ!」 「うん。」 「抜いたよん佐伯!」 今まで佐伯に挑発されていた英二が今度は挑発し返す。 「英二いつの間にあんなステップ覚えたんだろ・・・?学校の練習では見なかったけど・・・。」 「あれはおそらくあまりに移動が速いから残像が残って見えるんだ。 一瞬目をやるとあたかも英二が二人いるかのようにね。しかし何て動きだ・・・。」 「ほーんと猫っスね。」 「あんな事英二先輩にしか出来ねぇ。」 「残像か・・・でも本当・・・・英二が二人いるみたい。猫2人?」 六角サイドも菊丸印のステップに翻弄され、青学は立て続けにゲームを取る。 「何でぇ・・・真ん中ぁ・・・打たないの?」 「・・・・・・!(悪いけど菊丸、真ん中にスキが出来るよね。だったらそこを・・・)」 佐伯はオジイのアドバイス通り真ん中を狙うが・・・・ 「三人いる!?」 「残念無念・・・また来週ーーーっ!!」 「(ならトップスピンロブで頭上を・・・・トップスピン・・・)」 「駄目だよボクをフリーにしちゃ。」 この試合で初めてつばめ返しがキレイに決まった。ここまでくればもう流れは決まる。 「ねばるよ樹ちゃん!」 「がってん!」 「あっしまっ・・・・・・」 英二がフレームに当ててしまったチャンスボールに佐伯は迷わずスマッシュ体制に入る。 「あ!ヤバイ!!」 新ステップで英二が追いついたかと思うと・・・体をボールがすり抜け不二の餌食となる。 「いっけー!ひぐま落とし!!!」 「・・・・っ!!」 樹がボールを取りに走るも、不二のひぐま落としはキレイに決まった。 『ゲームセット!!ウォンバイ青学6−3!!』 BACK NEXT |