第38章 青学一のくせ者


『ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ六角サービスプレイ!!』

「オラオラ来いよ!バーニング!!よっしゃカモーン!!」

初っ端からバーニングモード全開の河村に呆れた表情の黒羽。

「どっちが勝っても・・・恨みっこ無しだぜ!」

力強く黒羽の打ったボールが河村のみぞおちに入る。

「タカさん!」

「スマン平気か!?」

「・・・・ぐっ大丈夫だよ。(真正面に直球・・・何てパワーだ。)」

「(プロネーション・・・!とんでもないビッグサーバーが居たもんだぜ!)」

桃は冷静に分析しジャックナイフでリターンする。

「でもダジャレ君の長いラケットじゃ届いちゃう!」

「いや大丈夫。あの重い鉛球ジャックナイフをあの位置でボレーできたとしても、ラケットが折れるか弾かれ・・・・・・」

「なっ!?」

だがダビデは難なくボレーで返す。

「任せろ桃!」

「いけー!タカさん!!!波動球!」

だが・・・あの波動球までもが軽々と返されてしまう。

『30−0・・・』

「うそ・・・ジャックナイフも波動球もあっさりと・・・・。」

「ペースを握りかけてるぜ。」

「けどあいつジャックナイフ打ってきたぜ。」

「あの大男の両手打ちあなどれないよね。」

六角サイドから子供の声が聞こえる。

「あの子達が今後六角を支える予備軍だよ。」

「ふへー。」

「子供から見たらタカさんって大男に見えるんだね〜。」

・・・・そこは関心する所じゃないぞ。」

乾は呆れてそう言いながらもカキカキとちゃっかりデータノートに書き込んでいた。

「(何なんだ奴のパワーは・・・!・・・でもこれだけは負けられない!)バーニング!」

「!」

『40−0!』

「残念!」

くるっと回転しながら打った黒羽は軽々と降りるとそう言った。

「うおおおーっ!バネさーん!!ダビデ行けーーーーっ!!!」

「スマッシュしまっす・・・」

盛り上がる六角の応援にダビデはシャレで・・・いやプレーで答える。

「あはは・・・おもしろーい。」

・・・・何でそんなに受けてんの・・・。」

「えーおもしろくない?」

「「「「全然。」」」」

その場にいたレギュラー陣が口を揃えてそう言った。





『ゲーム六角4−0』

試合は六角の一方的リード。2人のパワーをしても歯が立たない。

「桃・・・タカさん・・・。」

「こうも相手のパワーをまざまざと見せつけられるハメになるとは・・・。」

「チッ情けねぇ1ゲームぐらい返せねーのかよ!!」

「だ・・・だいじょうぶ!絶対タカさんと桃なら勝ってくれる!」

が、またゲームを取られ0−5と大きくリードされてしまうが、2人はさっきと変わらない。

「二人共あくまで自分達のテニスで勝つつもりっスよ。」

「パワーで勝つ!」

リョーマの言葉通り2人の目はまだ輝きを失ってはいない。

「パワーね。うん。2人ならきっとだいじょぶだいじょぶだいじょぶ。」

「オラオラオラッ!!バーニング!!」

「よし来いっ!!ん?ポーチすんの?」

勢いよく飛び出し桃がポーチボレーを決める。

「ナイスショット!桃!」

「桃たちが押しはじめた!」

大石と乾が2人に支持して作った足腰の強化トレーニング。ここにきて活きてきたようだ。

「おもしれーっ。望むところだぜ。なあダビデ・・・・。」

もぞもぞとダビデが本気の証拠である髪を結んだ。

「油断せずに行きましょう。奴等こっから来ますよ。」

くせ者・・・桃城はパワーや技術そして前向きさなど個人の能力として
相当高いポテンシャルを持っているのは見ての通りだ。・・・しかし本人が気づいていない
所がまだ有るんだ!今もホラ・・・・・桃城がそれを自覚した時本当に怖い存在になるぞ。」

「乾それって・・・・。」

「タカさんそろそろアレやってもいいっスか?」

乾が答える前に桃が何かニヤリと笑って河村に尋ねる。

「アレってなんだ?」

「アレ・・・超気になる・・・。」

その言葉を期に今度こそ攻守逆転。完全に青学ペースとなった。

「自分でも気付いていない桃城の能力。それは誰よりも冷静に周りを見れる洞察力。」

「いいぞー!桃カッコイー!!」

「やつらの迷いが消えた。」

「そう簡単には今までの様にはいかなくなったな。」

「タカさん今だあ!!!」

「「「!?」」」

桃のその言葉の後、河村が新技・・・ダッシュ波動球を打ち流れは今だ青学に。

「あの時桃がアレをやるって言ったのは・・・。」

「何かするにしても桃城の方だと皆思ってた。」

「タカさんと桃はこの一球を狙っていたんだ!」

「すごい!すごいすごいすごーい!」

はパチパチと手を叩きぴょんぴょんと飛び跳ねながら歓声を送る。

「青学っ!青学!」

「六角!六角っ!」

そして試合はついに・・・青学のマッチポイントを迎える。

「ああーーーっ!?」

六角へチャンスボールがあがりダビデが楽々とスマッシュを叩き込もうと・・・・

「タカさんアウトだぁーーーっ!」

『アウトッ!!』

最後の最後まで優れた洞察力を見せ、青学重戦車コンビは0−5から大逆転した。

「っしゃああっグレイトーッ!!」





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