第33章 二代目青学の柱


「(下克上いい言葉だぜ!実力重視敗者切り捨てという監督の方針が好きで俺は
氷帝に入った。宍戸さんの正レギュラー復帰には正直納得いってねぇが・・・・)」

『ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ青学サービスプレイ!!』

「(次の試合あの樺地は負傷、芥川さんも惨敗したんだ。俺のS2は堅い!
だが下克上だっ!!いずれ俺は跡部部長からS1の座を奪ってやる!)」

とその時リョーマのツイストサーブが日吉の顔をかすめた。

「よそ見してていーの?どんどん行くよ!」

「行け行けー!ツイストサーブ!」

「何だと!?」

日吉はリョーマのツイストに一瞬驚いたようだがすぐ冷静さを取り戻す。

「(やっかいなサーブ打ちやがってチビ助め・・・だが返せない球じゃないんだよ!)」

「ああ!ツイスト返されちゃったよ!?」

「・・・いいや」

「あのツイストサーブは」

「本気じゃねえ!」

「ワザとおチビの奴・・・」

「ああ。」

「返せるレベルで打ちやがった!」

レギュラー陣には手を抜いている事など一目でわかる。がしかし狙いは次だった。

「あ!あれ零式じゃん!!」

手塚の零式と同じように自陣のコートの方に転がって戻って行く。

「(一体何なんだこの1年は・・・!)」

「まだまだだね。」

そうお得意のセリフでゲームをしめた。







『青学リード1−0チェンジコート』

「すごいリョーマ。いつのまに手塚の零式できるようになったんだろう?」

「だがラケットヘッドが30cmも下がってたらバレバレだ。2度目は通用しないな!」

「ちぇっ。」

乾の言葉に少し悔しそうな顔をするリョーマ。

「青学っ青学!!」

「やはり出てきたなアイツ・・・。」

ラリーが続いていくと突然日吉が不思議な構えをしてきた。

「・・・・・・?」

キイーーーイン

「・・・・・・・・」

『15−0』

「よっしゃーっ出た日吉の演舞テニス!!」

「氷帝っ氷帝っ!!」

「日吉の奴あの独自のフォームに変えて急に伸びてきやがった。」

「何でも実家が古武術の道場でアイツにとってあのフォームが自然体らしいで。」

氷帝は見慣れているせいか冷静に見ているが、青学サイドは少なからず驚いている。

「にゃろう・・・・。」

「何あれ!?何か不思議なフォームだけど・・・。」

「やるね彼・・・。」

「あいつは来年には間違いなく正レギュラーになる素質を持っていたが・・・・あの
スタイルのデータは無い!こんなに早く台頭するとは・・・・ノーマークだった!!」

「えぇ!?乾でも何のデータもないの!?」

は思わず乾の袖をグイグイ引っぱって聞いた。

「いや・・・日吉若2年・・・・・・アグレッシブベースライナー・・・
性格は冷静沈着で他人に流されない。少し神経質な面もあるが、
常に前向きで虎視眈々と正レギュラーを狙っていた様だ。
誕生日は12月5日血液型AB型好きな言葉は『下克上』・・・。」

「下克上!?何でそんな事まで知ってるの!?」

がパッと日吉の方を見ると口ぐせのようにその言葉をつぶやく。

「下克上だ!・・・その為にはまずこの1年を・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「へえやるじゃん。」

スッとさも当たり前のようにラケットを左に持ち替える。

「・・・フン・・・お前にとっての下克上はここには無いんだよ。」

「ねえ・・・下克上ってさあ下位の者が上位の者の地位や権利をおかす事じゃないの?」

「出たーーーーー!リョーマのドライブB!!」

は手をパチパチ叩いてぴょんぴょん飛び跳ねて応援している。

「両者一歩も譲らずお互いに大技だしまくりだな。」

「まさに両校の次世代を担う若獅子対決という感じだな!お互いペース配分なんて
もんは考えて無い!自分の持てる力・・・大技をハイペースで繰り出している。」

「見ていて気持ちいいな。」

王者立海大もリョーマと日吉の対決に注目しているようだ。

「樺地なんか震えてへん?」

「そういう侑士お前も。俺もだけど・・・。」

「(何としても勝て日吉。俺達はここで終わる訳にはいかない!!)」

「チビ助・・・まだ10ゲームはいける!」

「フーン。俺20ゲームはいけるけど。」

「へらずグチを・・・。ふっ!」

日吉が演舞テニスで打つも、すぐさまリョーマがドライブBで打ち返す。

「きったぜきったぜドライブB〜♪」

「よしまた来たドライブB!」

「すごーい。リョーマ!ドライブBの連続じゃん!」

「そうか越前のヤツずと補欠で・・・皆の試合見ててうっぷんが溜まってたんだな。」

「そして手塚戦を目の前で見たんだ。いつも以上のテンションでプレイができるのも頷ける。」

ポス・・・とリョーマは帽子をコートの後ろに置く。

「・・・いやあれが本来の彼のベストなテンションなのかもしれない…(だとしたら…)」

「あと100ゲームやる?」

ニヤリと笑って言うと日吉は顔を驚愕の色を浮かべてリョーマを見た。





「そうだ越前。その一球で決めてこい。」

リョーマはその一言が聞こえたかのようにラスト1ポイントをドライブBで決めた。





『ゲームセット!!ウォンバイ越前ゲームカウント6−4』





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