第8章 地区予選その1


今日は地区予選。はなぜかとても浮かれていた。

「楽しみだねー周助ー。」

・・・何でそんなに楽しそうなの?」

「だって皆の公式戦って初めてだし。」

楽しそうにニコニコ笑いながらは言った。

「ちゃんと僕の事応援してよ?」

「あったりまえじゃん。ちゃんと皆のこと応援するよー。」

皆じゃないんだけどな・・・という不二のつぶやきはには聞こえなかった。







「えー。桃とリョーマがダブルス〜!?」

VS玉林中。は以前もらったレギュラージャージを着て応援していた。
案の定桃とリョーマは一昨日宣言した通りダブルスに選ばれていた。

?何でそんなに驚いてるの?」

「だって・・・あの2人ダブルス全然できないんだよね・・・。」

?それどういうこと?」

いつの間にか英二も話に加わっていた。

「一昨日桃とリョーマと一緒に帰っときにね、ストリートテニス場でダブルスやったんだけど
ぜーんぜんダメ。練習したとか言ってたけどきっとまだまだよ。」

「あー、桃とおチビずるい!!今度俺と一緒に帰ろ?」

「いいよー。」

がニコニコと笑うと英二のほほが少し赤くなった。

「英二・・・この前忠告したのに忘れたの?(ニッコリ)」

「にゃ…。し・・・知ーらない。」

ババッと英二は大石の後ろに隠れた。

「エージ!!頼むから俺の後ろに隠れるのはやめてくれ・・・。」

「そうだよ。ほら大石が困ってるからこっちおいで。」

周りの空気の温度をどんどん下げながら不二は英二に近づいた。

「周助、何そんなに怒ってるの?周助とはいつも一緒に帰ってるじゃん。」

「そうだそうだー。不二ズルイ!」

まだ大石の後ろに隠れたまま英二が言った。

「へ〜。英二僕にそんな口聞いていいのかな??」

極上の笑みを浮かべて不二が言うと英二は固まってしまった。

「周助!英二をいじめちゃダメよ。ほら、もうダブルス1の試合始まるからさ。」

も不二にとびっきりの笑顔を見せて言った。

がそう言うなら・・・英二今回は見逃してあげるよ。」

と言ってどこかへ行ってしまった。

「ふ〜。助かった…。ありがと優和。」

「いえいえ。ほら。試合だよ。負けたらさっきの約束なしだからね!」

「よっし。俺がんばるぞー!!」

英二はラケットをぶんぶん回してタッタカコートに入っていった。

「やっぱりちゃんの応援があるとエージ違うなあ・・・。」

「ほら!大石もがんばっていっといで!!」

ぼーんと背中を叩かれ大石は苦笑しながらコートに入っていった。







青学は圧倒的な強さでどんどん勝ち進んでいった。

「スミレ先生ー。他の学校の試合見てきてもいいですか?」

「あぁ。いいじゃろ。この試合ももううちの勝ちじゃしな。」

「じゃあ、行ってきまーす!」

VS水ノ淵中の途中、マネージャーのくせには他の試合を見に行った。

「へー。青学ってレギュラージャージ着てるだけでも結構いけるのねー・・・。」

は青学のレギュラージャージを着てるというだけでものすごく人目を引いていた。

「あ、もう1つの準決勝やってる。確か柿ノ木と・・・どこだっけ?」

シード校の柿ノ木とノーシードの不動峰中のシングルス3が戦っていた。

「あ、あの人さっき見に行った名ゼリフ言う人だ。あれ?でも負けてる・・・。」

「ゲームセットウォンバイ不動峰。」

「うわー。本当に勝っちゃったよー・・・。ちょっとどんな学校なのか近くに行ってみよー。」

そろそろと不動峰のいるベンチに近づいてっただがすぐに見つかってしまった。

「橘さん、青学のレギュラージャージ着てる女がこっち見てますけど・・・。」

「ん?青学のマネージャーか何かだろう。おい、気にしないで行くぞ・・・って神尾は?」

橘が辺りを見ると神尾がに話しかけていた。

「アンタ、青学のマネージャー?」

「うわ・・・もう見つかった・・・・。あなたは不動峰の人?」

「俺不動峰中2年の神尾アキラ。」

「私青学3年のです。あの、いいの?先輩みたいな人がこっち見てるよ。」

「げっ橘さん・・・じゃあまたあとでね。」

「あとで・・・?あ、そっか。もう決勝戦か・・・。早く戻らないと・・・。」

は急いで青学の皆のところへ走っていった。







。どこ行ってたの?心配したじゃない。」

「あ、ちょっとね。そうそう、決勝の相手不動峰みたいね。」

「えー。まさか。それはないっスよ先輩。」

「だって私その学校が九鬼君倒したの見たもん。」

「でも、そんな新参者余裕っスよね。」

堀尾がそんなことを言っていると後ろから不動峰が来た。

「あ、さん。」

「あ、神尾君。」

はひらひらと神尾に手を振った。

「何?知り合い?」

「さっき試合見に行った時に話しかけられたの。」

「へー。(いい度胸だね神尾・・・。)」

うっすらと開眼して不二は言った。横では手塚と橘が握手をしていた。

「周助。絶対勝ってね。そんで優勝よ!!」

「もちろんに言われなくても。」

「私もがんばって皆のこと応援するぞー!!」

僕のことだけでいいのに・・・という不二のつぶやきはまたも無視されてしまった・・・。





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