いらっしゃいませ!(3)


メニューに胃薬が追加された所で…また見知ったお客。

ちゃん!」

「あー杏ちゃんとアキラくん。」

「ども。」

不動峰中の杏と神尾の登場。

「…ちゃん…ここってただの喫茶店じゃないの?」

「うん。ただの女装喫茶♪」

「…さん…それはただのじゃないと思うんですけど。」

神尾の意見はもっともです。

「お。神尾と橘妹。お前ら来てたのか。」

「モモシロくんは女装してないんだね。」

「しろって言われてもしねぇっつの。」

「お前がやったんじゃ売り上げはガタ落ちだな。」

「だからやらねぇって言ってんだろ!」

バチバチと火花散らして睨み合う桃と神尾。

「もーまたケンカして〜。」

「杏ちゃんほっといて座っていいよ。」

「うん。ちゃんってさそういうカッコも似合うね♪」

「そう?杏ちゃんも似合うと思うよ?ねぇ、2人共?」

「「え?」」

急にに話を振られた2人は黙り込んでしまいました。

「桃、ちゃんと杏ちゃん達の接客よろしくね。」

「…へーい。」

「それで2人共?さっきの答えは?」

「「だから…。」」

答えに詰まる2人は杏ちゃんに頬を抓られています。

「何か急にお客増えたね。」

「何でこんなに他校ばっかり来てるんだろうね?(ニッコリ)」

「…何でだろうね?」

もちろんが売り上げを伸ばすために呼んだのですが。

「ヤッホーちゃん。遊びに来たよ!」

「あ、千石くん!」

「…まだ来るか…。」

不二はやれやれとため息をつきます。

「相変わらずちゃん可愛いな〜。」

「今日は女の子のカッコしてるからじゃない?」

「いやいや。いつも可愛いって。」

「またまた〜。」

千石の発言=冗談だと思っているはケラケラと笑います。

「あんまりに近づかないでくれる?(ニッコリ)」

「周助。」

「…って事はあの不二…くん?」

千石が驚いたように口を開けて不二を指差す。

「可愛いでしょ〜?」

「…。」

うんともすんとも言えず黙ってしまう千石。

「…え、これ俺はどー言ったら正解なのかな?」

「可愛いって言えば」

「言ったら即効で追い出すけどね♪(ニッコリ)」

「周助!ちゃんとおもてなししなきゃダメでしょーが。」

「…こちらへどーぞ(棒読み)」

黒く周りが冷える笑みを浮かべて不二は嫌々千石を席へ案内する。

「いやー何だか異様な繁盛の仕方だね。」

「ふふふーこれで売り上げ1位はゲットかなぁ〜♪」

千石に水を出しながらはニコニ…いえニヤニヤと笑っています。

「…もしかして…今回の目的はそれ?」

「だって1位には学食のタダ券もらえるんだもん。」

「…珍しいと思ったんだ。ちゃんからメールくれるなんて…。」

若干ショックを受けている千石ですが、のメイド姿には大満足のようです。





ー!」

「はいはい!」

ー注文ー!」

「どーぞー。」

他校生だらけの女装喫茶では端から端まで走り回って大忙し。

「何ていうか…スゲーよなぁ…。」

先輩効果ってスゴいっスよね。」

「ふむ…前年度の売り上げをはるかに上回っているな。」

「これは優勝いっちゃうんじゃん?」

「……。」

売り上げNo.1へ盛り上がりムードのレギュラー陣ですが…なぜか手塚だけは難しい顔。





そして運命の後夜祭での結果発表…ですが…?

「飲食部門売り上げ第1位は…。」

ドラムロールの響きと共にグラウンドに集まったどのグループも緊張しています。

「生徒会主催の『青学名物喫茶店』です!おめでとうございまーす!」

「「「「えーーーー!!!!」」」」

勝利をほぼ確信していたテニス部レギュラー陣はそろって驚きの声をあげました。

「何で何で何でー!?絶対1位取れたと思ったのにー!手塚ー!」

「いや…だから…毎年生徒会は学食と協力してやっているんだが…。」

「でも去年までは1位は別の団体が取ってたよな?」

「そうだよね。一体どういうことなのかな?」

レギュラー陣全員から見つめられる手塚は一瞬怯むが理由を話し始めた。

「…いや今年は会計と書記がなぜか張り切って宣伝していたんだ…。」

「えーでも絶対うちらの方が売り上げ上だと思ったのにー!」

「でも俺たちは学外の売り上げばかりだったからな…。」

「え、ちょっと大石どういう事!?」

何気なく言った大石の一言には初めて聞いたように驚いた。

「だから、学内からの売り上げは順位のポイントに加算されるけど学外はないんだよ。
今年からできたルールみたいだけど…もしかしてちゃん知らなかった?」

「そんなの知らない…!えーそんなのどこに書いてあった!?」

「…生徒会が渡したプリントに書いてあるだろう。」

「えー超ショック…!せっかく皆に協力してもらったのに…。」





こうして文化祭はの勘違いで惜しくも優勝を逃したわけですが…?

さん。」

「はい?」

「これ写真部からのお礼です。」

「写真部?」

文化祭が終わった数日後。は話した事もない写真部員からある物をもらいました。

「何で写真部?」

「説明してやろうか?」

「わっ!乾!」

にゅっとどこからともなく湧いた乾には飛びのくように驚いた。

「今年の写真部の売り上げは例年の倍以上。学内の人間だけじゃなく学外の人間からも
ある写真の注文が殺到しているようだ。その写真が…男テニのあの4人だそうだ。」

「なるほど。ここ最近周助や英二を見る女の子の目がいつもと違うのはそのせいか。」

「それでその女装喫茶を企画したにお礼という事なんだろうな。ところで中身は何だ?」

「んーっとね…あ。学食のタダ券だ!」

そう。今回の文化祭でが狙っていたもの。6枚封筒に入っています。

「…よし。明日皆で学食だ。」

「皆?」

「女装組と私と乾。他の皆にはナイショね♪」

「…了解。」

ノートに何かをメモり「やはり98%だ…」と呟きながら乾は自分の教室に帰って行った。



結果的には異様な繁盛だった女装喫茶。あなたもいらっしゃいませんか?




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