いらっしゃいませ!


それはある日の昼休み。

「いーぬーい!」

か。珍しいな。」

「とかなんとか言っちゃって〜。私くるのわかってたでしょ。」

「…バレたか。」

するとはニヤッと笑いながら乾にある提案をします。

「今年の文化祭さぁ〜。」

「あぁ。何かいい案は浮かんだか?」

普通ならば引退した3年生はクラスでの出し物しかやらないはずなのだが、
テニス部の3年生は毎年文化祭までは部活動の方も参加しているのである。

「ちゃんと現部長の賛成ももらってきた!」

「…元部長の了承は取れそうな内容か?」

「…さぁ?」

「それで、一体何をやるつもりなんだ?」

は楽しそうに笑って乾に耳打ちします。

「…本当にやるのか?」

「だから、手塚がいない日に副会長の了承得るから。」

「…面白そうだしな。協力しよう。」

「交渉成立♪」

何かよからぬ企みに聞こえてくる文化祭の出し物。その真相は一体…!!!





という事で。そのよからぬ企みを伝えるべくして集められたいつものメンバー。

先輩、了承取れたんスか?」

「もっちろん!」

ー。もったいぶらずに早く教えてよー。」

「はいはい。」

は前に出てコホンと咳ばらいをし、話し始めます。

「今年、テニス部では…喫茶店をします。」

「あれ?意外と普通なんだ。」

「チッチッチッ。周助〜このメンバーで普通の事なんてするはずないっしょ。」

「…嫌な予感が…。」

「今年は女装喫茶をやりまーす♪」

「「「「えーー!!」」」」

「…却下だ。」

驚く3年の中で手塚だけは冷静にの意見をピシャリと却下します。

「そうか。生徒会長の手塚の判がないとやる事はできないな。」

「なら安心か。」

「甘いな。2人共。」

「「え!?」」

大石と河村の後ろから乾がにゅっと現れます。

「手塚が却下してももう生徒会の了承は取れてるもん。」

「何だと?」

「生徒会長が不在の場合は副会長にその権限がある。」

「副会長さんが『楽しみにしてます』だって♪」

そう言って笑うが差し出したのは文化祭の催し物受領書。

「……。」

「残念だったな手塚。」

「乾…お前か…。」

「いや、作戦を考えたのはで俺は助言しただけさ。」

「…。」

もうどうあがいても手塚の負けは確定です。

「大丈夫よ。全員女装する事はないから♪」

「そうなのか?」

「そうっスよ。じゃなかったら俺ら賛成しませんって。」

主体は2年生なので、現・部長と副部長の署名が必ず必要なのだ。

「で、先輩。誰が女装するんスか?」

「あれ?おチビ聞いてなかったの?」

「話し合ってたの先輩と桃先輩達っスよ。」

「女装する人達は私が独断と偏見で決めました♪」

は相変わらず楽しそうに話す。

「それでは発表します。」

「「「……。」」」

どこからともなくドラムロールが鳴りそうな雰囲気です。

「周助と英二とリョーマと…手塚でーす!」

「……一体どういう事だ!!」

「…だって…ねぇ乾?」

…俺に話を振らないでくれ…。」

楽しそうなとは裏腹に手塚は眉間の皺が三割増し。

「だってね、手塚。副会長さんもこの話したら大乗り気だったよ?」

「…。」

「後はウエイターと料理人なんだけど…。」

「え、女装喫茶なのに普通の人もいるの?」

「うん。いちお。」

「「「いちお?」」」

ウエイターに指名されたのは乾と桃。

「乾は絶対調理スペースには入らない事!」

「…仕方ない…。」

これで乾汁は拝まなくて済みます。

「調理の方は私もやるから一緒に頑張ろうね。」

「ああ。」

「うん。」

「…っス。」

女装を免れただけでなくと一緒にできるので万々歳です。

は調理だけしかしないの?」

「え、うん。」

けれどこのまま黙って引き下がる魔王様ではありません。

も一緒に女装したら?」

「私がしても女装にならないじゃん。」

「じゃあはメイドのカッコとかすれば?」

「え?!」

ここでノってくる女装組。は勢いにタジタジです。

先輩だけ何もやらないのは不公平っス。」

「えー!」

「言い出したが何もやらないのはな…。」

「手塚まで〜。」

、やってくれるよね?(ニッコリ)」

「う…。」

周りを見回しても味方はいません。

「…わかったよ〜。わかりました…。」

「それじゃあ姉さんに言っとくよ♪」

「え…何で由美子さん?」

「だって衣装とか姉さんに相談してたんじゃないの?」

「…バレバレ?」

はそういえば…と由美子とした会話を思い出します。



ちゃんは何も着ないの?」

「私は調理係なんで。普通のカッコですよ?」

「あら残念。ちゃんに着てもらいたいものあるのに。」

「え…遠慮しときます〜。」




「…何かすごくヤな予感…。」

「楽しみだね♪文化祭。」

「いいもん。私も色々考えるから〜。」

何を考えようとしているのかはニコニコと笑います。

「っつーか何で不二は女装に抵抗はないんだよー。」

の恰好が楽しみだからだよ♪(ニッコリ)」

「そーだけど〜。」

「…他にも色々と…ね?(ニッコリ)」

不二も何か考えているらしく…とても楽しそうな笑みを浮かべます。



…このままで出し物として成立するのか…誰も知らない…。





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