デートの尾行は迅速に? (2)


「あ、深司くん。」

「あ…さん……とアキラ。」

「俺はついでかよ!」

偶然遭遇一人目。不動峰中2年伊武深司。

「深司くん何してんの?」

「……ちょっと…っていうか何でこんな所に神尾がいるわけ?」

「俺がどこにいよーが俺の勝手だろ!」

「…へー…。」

頷いた深司はぶつぶつと呟いて行ってしまった。

「何だったんだ?あいつ…。」

「あ、ヤバい!桃と杏ちゃん見失っちゃう!」

「よーし!リズムに乗るぜ!」

「乗ったら追いこしちゃうってば!!」

リズムに乗って走り出す神尾をは必死に追いかけるのだった。





偶然遭遇2組目。不動峰中2年の皆さん。

「げっ!アキラ!お前こんな所で何やってるんだよ。」

「お前らこそ何やってんだよ。」

神尾の問いに一斉に黙ってしまう石田・桜井・森・内村。

「しかも青学のマネージャーのさんと一緒に。」

「うちらはね〜尾行してるの。」

「「「「尾行?!」」」」

「わー、いいっスよさん!言わなくて!じゃあな!」

余計な事をしゃべり出す前に神尾はを連れて退散した。

「…何やってんだ?アキラのやつ…。」

「さぁ?でも…。」

「この荷物バレなくてよかったぜ…。」

「「「「あいつがニブくてよかった…。」」」」





偶然遭遇3人目。不動峰中3年橘桔平。

「あ、橘さん!」

「おう。神尾に。2人で何やってるんだ?」

「何か今日不動峰遭遇率が多い…(ボソリ)」

橘は買い物を終えたのか、何やら大荷物を抱えている。

「たっちーは買い物の帰り?」

「あぁ。お前達は何やってるんだ?」

「ちょっと尾行を。」

「尾行?」

「あ、いや…違うんですよ。橘さん。それじゃ、また!」

「…??」

余計な問い詰めをされる前にまたも逃走の二人。

「あいつら…付き合っていたのか?」

そんなはずはありません。





「結局見失っちゃったね…。」

「…でも、もういいですよ。」

神尾は力なく肩を落とす。

「…アキラくん。大丈夫?」

「え、も…もちろん大丈夫っスよ!それじゃ、またテニスしましょうね!」

「うん…(本当に大丈夫かなぁ?)」

結局尾行は途中で中断。だけど…この真相は次の日明らかになるのだった。





〜次の日〜

「「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」」

「へっ?」

体育倉庫を改造して作った不動峰の部室。今日はさらに飾り付けまでしてある。

「何ボケッとしてんだよ。今日はアキラの誕生日だろ?」

「あ…そういえば…。」

「はい。神尾くん。プレゼント。」

「杏ちゃん…。」

杏からのプレゼントに神尾はもう昨日の事などどうでもよくなっていた。

「男の子って何欲しいかわからなかったから桃城くんに聞いてみたんだけど…。」

「あ…それで…。」

「え?」

「いや…何でもない…。」

デートじゃなかったのか…とホッと胸をなで下ろす神尾だった。





一方その頃青学では?

「桃〜昨日杏ちゃんとデートだったでしょ。」

「デート!?違いますよ。今日神尾の誕生日だからそのプレゼント買いに…」

「何だ…デートじゃなかったのか…。」

残念なようなホッとしたようなような表情を浮かべるに桃はニヤッと笑った。

「デートじゃないってわかってホッとしました?」

「…なーにバカな事言ってるのよ!はい、ほら。練習練習!」

「そんな照れなくったっていいじゃないスか〜。」

「照れてません!」

「またまた〜…イテッ!!」

そして天誅とでもいうようにボールが二発桃に飛んでくるのであった…。





BACK