青学VS城成湘南


関東大会2日目。てくてくと歩いて来たリョーマは会場入口の騒ぎに気づく。

「ん?」

『JHOSEI』と書かれたバスの前に人だかりがある。

「まだまだだね。」

「キミ、ちょっと待って。キミ越前リョーマくんね。」

メガネをかけたコーチらしき人がリョーマを呼び止めた。

「今日はよろしく。城成湘南テニス部コーチの華村です。会えてうれしいわ。」

「どーも。」

「キミは素晴らしい素材ね。キミうちにくればもっと伸びるのに。
私ならキミを最高の作品に完成させられる。関東大会が終わってからでも構わないわ。考えてみて。」

「やだ。完成ってそれで終わりって事でしょ?」

「あ、リョーマ来たぁ!」

ニヤッと笑ったリョーマの後ろからマネージャーの声がした。

先輩。」

「もー、またリョーマ最後だよ〜。早く行こ。」

「キミ青学のマネージャーでしょ?」

「?」

すぐ側で親衛隊に囲まれていた若人がに声をかけてきた。

「え、あのー…。」

「城成湘南中3年若人弘。あなたは?」

「えっと…

「先輩、早くしないと集合時間に遅れるっスよ。」

リョーマが律義に答えようとするの手を引っ張って連れていく。

「「気に入った(わ)。」」

華村と若人が同時につぶやく。もちろん誰の事かは言うまでもない。







所変わってここは青学サイド。

「あー!何でおチビとが手繋いでんだよー。」

「別にいーじゃないスか。」

「よし。これで全員揃ったね。一言頼むよ。部長代理。」

「はい。さぁ油断せずに行こう!」

大石が意気込んで右手を前に出す。

「オウ!」

「もちろん!」

桃ともつられて大石の手の上に自分の手を重ねる。

「ん?どーしたんスか?」

「何か子供みたいでテレくさいにゃ。お?」

そういう英二だが次々とレギュラー陣は手を重ねていく。

「あー皆ズルイズルイ俺だけ仲間外れー?」

「青学ー!ファイトオゥ!」

「「「「オーー!!」」」」

「じゃあ皆、応援は俺に任せてくれ!」

「じゃあはい。タカさん。」

が河村のラケットを差し出す。

「あ、今日はいいよ。」

「タカさんらしくないじゃん!」

にラケットを渡されバーニングモードON!

「おっしゃー!野郎どもー!リッスントゥーミー!勝ったら寿司食い放題、
負けたらわさび寿司一年分だー!青学ビクトリー!」

「お寿司の…」

「「「「「食い放題!?」」」」」

勢い余って言っただろう河村のセリフにレギュラー陣の目がキラキラと輝く。

「河村寿司大好きーvv」

賑やかな青学サイドと比べると落ち着いた城成湘南サイド。

「ほぅ…あれが青学か…あの子やっぱり可愛いなぁ。」

「……部長が故障してどっかに治療に行ったんだろ?」

「という事は戦力を大きく削いでるって事だろ?」

「先生はあいつらを評価してるけど、どうだろう。あんましオーラ出てないねぇ。」

「面白くねぇーなー。」

青学の実力を完全になめている。

「あれが城成湘南のレギュラーだ。」

乾がデータノートを構えて解説する。

「あのオネーさんイケてるよなぁ。」

桃が華村先生を見てぽつりと言った。

「桃ってあぁいう人がタイプなの?」

先輩…違うに決まってるじゃないスか。」

「何だ。よかった〜。」

はニッコリと笑って言うが、もちろんただ気になっただけである。

「あれは城成湘南のコーチだよ。」

「でも変な人っスよ。」

「おっ?越前、知ってんのか?」

「さっきナンパされた。」

「「「「「えーーーー!!!!」」」」」

さらりと言うリョーマだが、レギュラー陣はものすごく驚きの声をあげる。

「リョーマ!それ本当!?」

先輩、心配?」

リョーマがニヤッと笑って言うとの顔がポッと赤くなった。

「だって〜やっぱ気になるじゃん。」

先輩だってさっきナンパされてたじゃん。」

「「「「「えーーーー!!!」」」」」

「リョーマ。あれはナンパじゃないよ。」

、何もされてない?」

「だから違うってば〜。」

「おチビ、どいつどいつ?」

が違うと言っても全く聞かず闘志がさらにメラメラだ。

「あれってマムシの対戦相手じゃないスか。」

「海堂、絶対負けんなよ!」

「…当然っスよ。」

「だから自己紹介されただけなのに〜。」

はハァ…と溜息をつく。

「別にいいじゃないスか。燃えてるんだし。」

「んーそうだね。とにかく皆ガンバレー!負けるなー!」

の応援があれば百人力だよ♪(ニッコリ)」

とにもかくにも青学VS城成湘南の試合スタート!!





「リョーマ、さっきあの人に何て言われたの?」

「やっぱ気になるんだ?」

「うっ…。」

「まだまだだね。」

またニヤリと言われ、さっきよりも顔を赤くするだった。





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