乾の大(?)発明!?


「フフフ…フハハハ・・・・完成だ…とうとう完成したぞ。」

ガチャッ、ギィーーー

「チーッス。」

「2年桃城、1年越前、到着しました。」

「やぁ越前に桃よくきてくれたな。」

「そりゃあ乾先輩の頼みなら断れませんよー。」

「でも一体何の用事っスか?白衣なんか着ちゃって。」

部室だというのにジャージではなく白衣を着ている乾…

「よく似合ってるだろ?」

「…っな…確かに似合ってますけど。」

「似合いすぎっスね。何か理科の先生みたい。」

「お…俺は…俺は…。」

「な…何スか。」

「俺は…手塚より老けてない!」

乾は拳を握りしめて断言する。

「いや、誰もそんな事言ってませんから。」

「お…俺は…絶対手塚よりは…。」

「眼鏡をカクカクさせるのやめて下さいよ。」

「い…乾先輩落ち着いて。」

桃がどうどうと乾を宥める。

「で、俺達に見せたいものって何スか?」

「この間の試作品メニューの実験みたいなのはなしですよ〜。」

つい先日、桃は新作乾汁の試飲をさせられ大変な目にあったのだ。

「あんな幼稚なものじゃないよ。さぁこれを見てくれ。」

乾はそう言ってカバーがかけられている台車を出した。

「これは俺が綿密なデータの元に作りあげた高性能玩具。その名も『エイボ』だ。」

「「はぁ?」」

「口で説明してもわからないだろうからまず見てもらおう。」

バサッと取られたカバーの下から出て来たものは…!

「みゃぁーーーお!」

「おー英二先輩そっくりの猫型のロボット!!」

「ごろにゃ〜ん。ごろごろごろ。」

「へ〜猫型のエイボかぁよくできてらぁ。」

リョーマ感心してしげしげと見つめる。

「んにゃ!んにゃ!」

「ははは。ちょっとあごの所なでてやってもいいスか?」

「いいとも。」

桃があごをなでるとエイボは嬉しそうに喉をならす。

「んにゃーーーごろごろ。」

「へー結構可愛いじゃないスか。」

「ま、カルピンには負けるけどね。」

「ぴしーーー!!」

エイボは毛を逆立てているような雰囲気でリョーマを威嚇した。

「おいおい、ちゃんと怒ったぜ。」

「こいつ人間の言葉がわかるんだ。」

「うん。言語機能にはかなりの容量が割いてある。」

「たいしたもんスねー。乾先輩。」

「そうだろう。俺の自信作だ。」

乾は胸をはって逆光で答えた。

「いつのまにこんなもの作ってたんスか?」

「入学したときからずっと。2年以上かかったよ。血と汗と涙の結晶だ。」

「でもただのおもちゃっスよね。」

「ふぃぎぃー!!」

「ふっ。ただのおもちゃと考えてもらっては困るな。」

乾は逆光で2人に近づく。

「げっ…乾先輩逆光だぜ。」

「眼鏡が光ってる……マジっスね。」

「このエイボには俺が今まで収集した菊丸の膨大なデータをすべてインプットしてある。
玩具にして玩具に非ず。菊丸の分身とも言うべき猫型ロボットなのだ。まさにお家に1台菊丸エイボ!!」

「にゃお〜ん。」

エイボが猫なのに遠吠えをした。

「まぁ確かに外見はエージ先輩そっくりの猫だなぁ。」

「っていうか菊丸先輩が猫に似てるだけじゃ……。」

「外見だけじゃない。運動機能も充実しているぞ。菊丸そっくりに動くんだ。」

「じゃあ動かして下さいよ。」

「ちょっと待ってくれ。今ネジを巻くから。」

「「動力はネジかい!!」」

2人のツッコミを気にせずギーギーと乾はエイボのネジをまく。

「さぁ行くぞ!」

「にょぉーーん!!」

「あ、走り出した。」

「にゃるほどね!にゃるほどね!」

「っな!?飛んだ!!」

「へへへのかっぱ!へへへのかっぱ!」

「うわっ転がった!」

「なんじゃらホイホイ!なんじゃらホイホイ!なんじゃらホイホイ!」

「今度は回転した!」

「ほいっとな!ほいっとな!ほいっとな!ほいっとな!」

「「おーまさにアクロバティック。」」

桃とリョーマはエイボのアクロバティックなパフォーマンスに素直に拍手を送る。

「ぜーにゃー…ぜーにゃー…ぜーにゃー…」

「でも何か疲れてるみたいっスね。」

「ロボットのくせに息切らしてますよ。」

「ぜーにゃー…ぜーにゃー…」

「たぶんぜんまいが切れたんだろう。」

乾がエイボのぜんまいを巻こうとした時桃がある事に気づいた。

「っおい!エイボのひげんとこ見てみろよ、越前。」

「へーちゃんとほっぺたにばんそーこーもあるんスね。」

「見てみてぇなぁ…見てみてぇよ…なぁ…せっかくだからはがしてみよーぜ。」

「いいっスねぇ…やりましょう!」

桃とリョーマがじりじりとエイボに近づく。

「うわ!よせ!」

「ぎゃあーーーーー!!!」

「「え!?」」

「きっくまるビーム!!」

ビビビビビビー!!ビッシャァーン!

「どわあ!部室の壁に穴が開いた!!」

「言い忘れていたがエイボはほっぺたのバンソーコーを剥がそうとすると、両目から殺人光線を発射するんだ。」

「んな物騒な機能つけないでくださいよ。」

その時部室の穴からひょっこりとが顔を覗かせ、事態はさらに深刻に発展していった…?





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