東西対決直前


がスコアボードを持って歩いていると生け垣に隠れている怪しげな3人組を見つけました。

「なーにやってんの?」

「「「わっ!」」」

驚いた3人が生け垣から飛び出すと桜乃と一緒にいたリョーマがじっとにらみつけた。

「…先輩たち何やってんスか…。」

「もーが驚かすから見つかっちゃったじゃん。」

「だって明らかに怪しかったんだもん。後ろ姿。」

くすくす笑いながらジャージについている葉っぱを取ってあげる

「コシマエー!試合しよ〜!」

「!」

「…あいつさっき試合行きませんでした?」

「うん…今さっき…。」

「西のスーパールーキーか…。」

はリョーマに話しかけている男の子を見て首を傾げる。

「…どっかで見たような…。」

「あーー!この間コシマエと一緒におった姉ちゃんや!」

「この前…?あ、会場下見した時の。だよね、リョーマ。」

「わい遠山金太郎言いますねん。よろしゅ〜!」

「青学のマネージャーのです。よろしくね。」

「…わーがまた始まった!」

の他校遭遇率は120%を越えてしまうほどです。

「姉ちゃんコシマエの姉ちゃんやないんやな。」

「うん。リョーマの先輩だよ。中3だから。」

「えー!白石と同い年には見えへんわ〜。」

野生の勘は恐ろしいですが、ここには真実を知る不二がいないので特に大した疑問も持たれません。

「それどういう」

「それはどういう意味かな?金ちゃん。」

「白石!」

金太郎の後ろから包帯を巻いた左手で金太郎の頭を押し潰した男。
四天宝寺の部長、白石蔵ノ介である。

「なー白石!コシマエと空いてるコートで野試合したらあかんのん?」

「あかん。まだ皆戦ってるやろ。応援しい。」

「イヤや!」

「あかん。」

「イーヤーや!やる!」

2人のやりとりに青学レギュラーとはぽかんと見ているしかない。

「金ちゃん…そないな事言うてると…。」

白石が左手の包帯をしゅるしゅると取り始めた。するとさっきまで元気がよかった金太郎の顔がみるみるうちに青ざめていく。

「毒手!!マンガで読んだで〜それに触られた奴は死んでまうって!」

「金ちゃんはまだ死にたないやろ?」

包帯を解く手を止め優しく聞く白石に金太郎は無言で首を縦にぶんぶんと振る。

「それに今の試合に勝ったらコシマエのやる青学と当たんで。」

「ほんまか!じゃあ応援せな!」

「俺は受付に用があるから先帰っとき。」

「へ?」

白石はいつの間にかの肩を抱くと金太郎にひらひらと手を振る。

「姉ちゃん!気ーつけや!毒手やで!」

「…。」

は肩を抱いている左腕の包帯をつんつんとつっついてみる。

「気になる?中がどうなってるか。」

「んー…気になるけど…怖くはないかな。」

ニッコリ笑って肩を抱く腕を外したに白石は一瞬驚いて両手をあげ降参のポーズ。

「俺の負けや、ちゃん。これ以上ここにおったら準決勝前に攻撃されそうやし。」

「え?」

そういえば忘れられていた青学レギュラーは白石を睨みつけて後一歩で臨戦態勢。

「も〜皆心配性なんだから。」

「ほな、また準決勝で。」

ひらひらとに手を振って白石は去っていった。

「さらりと勝利宣言してるし。」

「今あの学校ってどこと対戦してるの?乾。」

「不動峰だ。」

「…そっか。さっきの子がすぐに戻ってきたって事は不動峰キツそうだね。」

は眉根を寄せて歓声が上がっているコートへ目を向ける。

「俺達も見に行こう。手塚達と合流するはずだ。」

「あれ?は?」

「私はお仕事〜。」

「えー。いないとつまんないー。」

英二がぎゅーっとに抱き着くが乾によってすぐにべりっとはがされる。

「次の対戦相手なんだからしっかり見てきなさい!」

「はーい。」

に言われてはしぶしぶ頷くしかない英二。

「じゃあ皆頑張ってね〜。」

はひらひらと手を振ってレギュラー達を見送るとふっと一息ついた。

「さ。私もしっかり仕事して皆をサポートするぞ〜!」

1人こぶしを高く上げは受付へと戻って行った。



そしてが受付についた頃一際大きな歓声が上がる。



四天宝寺が不動峰をストレートで破り準決勝へと駒を進めたのだった。





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