ストリートテニス事件簿? |
「…どうすんだよ…。」 「…めんどくさいなぁ…俺が見つけたんじゃないのに本当とばっちりだよなぁ…。」 いつも賑わうストリートテニス場。今日は何やら不穏な気配…。 「ストテニ行くの久しぶり〜。」 「俺はしょっちゅう行ってるっスよ。」 「だって部活終わった後って時間ないじゃん。」 「あ、先輩は日誌とか書いてるんスよね。」 「マネージャーのお仕事だもん!」 今日は部活が休み。と桃は珍しく2人でストテニ場に行きます。 「杏ちゃんいるかなぁ〜。」 「でも…随分静かっスね。」 「ね。ボールの音もしない…誰もいないのかな?」 「まぁでも部活なんじゃないスか?」 「そっかぁ〜…ちょと残念。」 階段を上がってコートに着くと…うずくまって何かを話してる2人を発見! 「…何だ。人いるのかよ…。」 「深司くんとアキラくんだ!」 桃は心底残念そうに呟き、は不動峰の2人を見つけて嬉しそうです。 「あ!さん!と桃城。」 「ヤッホー。2人共そんな所で何やってんの?」 「実は…。」 神尾が訳を話そうとすると…神尾と深司の後ろの茂みがガサガサと揺れた。 「「!」」 「…何かいるのか?」 「だから…」 「ワン!」 ガサッと茂みを揺らして飛び出してきたのは…小さな子犬。 「ワン!」 「キャー!」 と桃の方に近づいてくる犬には悲鳴をあげて桃の後ろに隠れる。 「先輩?」 「こっち来ないで…!深司くん!ちょっと犬連れてって!」 桃を盾にしたままは犬を指差し叫んだ。 「…さんって犬苦手なんだ…まぁ俺も別に好きじゃないけど…しょうがないなぁ…。」 「先輩って犬嫌いなんスか?」 「…嫌いじゃなくて怖いの。」 「「こんなに小さいのに?!」」 深司が抱えているのは小さな子犬です。 「さん、大丈夫ですって。」 「小さくても犬は犬だもん!」 「ワン!」 そんなの気持ちを知ってか知らずか犬は元気です。 「で、この犬一体どうしたんだ?」 「俺らが来たらそこのダンボールに捨てられてたんだよ。」 「捨て犬なんだ…可哀相…。」 いちお気になるのか、桃の後ろから抜け出す。 「お前らの家は飼えないのか?」 「俺の家は姉ちゃんが動物アレルギーだから無理。」 「…俺はめんどくさい…第一発見者は神尾なんだから神尾が責任持てばいいんだ…。」 「…。」 「桃の家は?」 「あー…俺ん家は…犬が飼える場所ないんスよ…弟も妹もいるんで…。」 「さんは…無理っスよね…。」 ジーッと犬を見つめながらはコクコクと首を縦に振る。 「どーすんだよ…」 「…っていうか俺達テニスしに来たんじゃないの?…本当神尾といるとロクな事ないんだよね…。」 「ぼやくんじゃねぇよ深司!」 「でもこのままじゃ可哀相だよ…。」 「夕方になればここも人がたくさん来るんじゃないスか?」 「そっか。じゃあそれまで大人しく待ってなさい!」 「ワン!」 がビシッと言うと犬は元気よく返事をして…深司の腕から飛び出す。 「あ。」 「何で私の方来るのよ〜!!」 「先輩!」 は反射的にパッと逃げ出す。でも…もちろん犬は追い掛けていく。 「わーん!誰か助けてよ〜!も〜も〜!」 「先輩!逃げると余計追いかけられるっスよ!」 「じゃあどうするのよー!!」 は涙目になりながら必死で逃げている。でも…犬は楽しそう…。 「さん!止まればいいんスよ!」 「止まる…?」 止まって後ろを振り向くと…もちろん犬は自分に向かってくる。 「…………やっぱ無理〜!」 「ワンワン!」 「桃ー!何とかしてよー!」 「何とかって言われても…。」 桃がを助け出す方法を考えているとストテニ場に人がやってきた。 「あれ?皆来てたんだ。」 「「「橘妹(杏ちゃん)!」」」 「何でちゃん子犬と追いかけっこしてるの?」 「杏ちゃーん!助けてー!」 「犬をこっちに呼べばいいの?」 「できるのか?」 「やるだけやってみるよ。…オーイ!ワンちゃんこっちおいで!」 パンパンと手を叩きながら杏は犬を呼ぶ。 「…?」 「ほらほら、こっちおいで!」 「ワン!」 呼ばれているのがわかったのか犬は杏の元へ走って行く。 「よしよし。よくできたね〜。」 「先輩!大丈夫っスか?」 「…もうダメ…。ありがと杏ちゃん…。」 は息を切らしながらベンチに座り込む。 「どうしたの?この子犬。」 「今日ここに来たら捨てられてたんだよ。」 心なしか杏に抱かれている犬を睨みながら神尾が説明する。 「可哀相〜誰か飼ってあげられないの?」 「お前ん所はどうなんだよ。橘妹。」 「うちはもう犬飼ってるから無理よ。」 「だから杏ちゃん犬の扱い方慣れてるんだね…。」 結局またふりだし。テニスをしながら新たに人が来るのを待ちます。 「ワン!」 「……………。」 「…先輩。大丈夫っスか…?」 「大丈夫じゃないよ〜早く試合終わらせて〜。」 じゃんけんで負けたが1試合目は犬の子守です。 「ワン!ワン!」 「う〜…早く誰か来ないかなぁ〜…。」 犬とストテニ場の入口を交互に見ていると…が待ち望んだ人影が…! 「あ、裕太くん!」 「あれ?さん。今日部活ないんスか?」 不二の弟、聖ルドルフの不二裕太がやってきた。 「どうしたんスか?この犬。」 「それがね〜。」 かくかくしかじかとが話していると試合を終えた4人が戻って来た。 「ってわけなんだよね…裕太くん心あたり…わー!ちょっと!」 「先輩落ち着いて!」 「大丈夫よ、ちゃん。この子眠いだけだから。」 杏の言うようにの膝に乗った犬はスヤスヤと寝息をたて始めました。 「…体が固まって動かない…。」 「さん…犬苦手なんスか?」 「怖いもん…あ。で、裕太くん心あたりない?」 「ありますよ。」 「「「「「え?!」」」」」 さらっと裕太が言うので5人は声を揃えて驚く。 「何だよ皆して…。」 「え、裕太くん自宅で飼ってもらうの?」 その裕太の自宅に居候しているは顔をひきつらせて聞く。 「違いますよ。寮で飼おうと思って…。」 「でも寮で飼えるのかよ。」 「管理人さんが犬好きだからな。多分許してくれると思う。」 「ならよかったんじゃない?よかったわね〜。」 杏はよしよしと犬の頭を撫でる。 「ワン!」 「…早く降りて〜〜〜!!」 「ワンワン!」 の意思と反して犬はにくっつき顔をぺろぺろ舐めようとする。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」 「さん、大丈夫ですか?」 「相当ヤバそうだな…。」 「ちゃん…そのワンちゃん可愛いのに…。」 「(まさかあの犬…女好き!?)」 「…神尾、それは妄想しすぎ。」 「何で俺の心の中読んでんだよ!!」 それは…黒魔術入門編が使える深司だからですよ、神尾くん。 「それじゃ、俺こいつ連れて帰るんで。」 「結局テニスできなかったね〜。」 「また来るんで、今度は相手して下さいよ。さん。」 「うん。」 がにこやかに手を振ると犬が寂しそうに鳴きだす。 「くぅ〜ん」 「…先輩。」 「…何でしょうか…。」 怖いので犬の方をあえて見ない。 「ちゃん、ちょっと撫でてあげるだけで喜ぶんじゃない?」 「うっ…。」 「さん頑張って下さい!」 「…でも〜…。」 「…そんなにイヤなら猫だと思えばいいんじゃないんですか?」 「…深司、それは無理ありすぎだろ。」 「そう?」 「…。」 周りにけしかけられ、は意を決して犬を自分の手で抱き上げる。 「…もしルドルフに用事あったら遊びに行ってあげるからね…。」 「ワン!」 「…うー…限界限界!」 「お疲れ様です。じゃあまた!」 犬を抱いた裕太はルドルフ寮へと帰っていきました。 「…あ!私もテニスしてない!!」 「じゃあちゃん、シングルスしようよ。」 「…よーし!負けないからね〜〜!!」 結局残りのメンバーはいつものように暗くなるまでテニスをしたのでした…。 〜オマケ〜 「おや?裕太くん。その犬どうしたんですか?」 「あぁ、捨てられてたんで拾ってきたんですよ。」 「…そうですか…しっかり面倒みるんですよ。」 「え?あぁ、それはまぁ…。」 「長い休みの時もちゃんと自分で責任とって下さいね。」 「え!?って事は…。」 結局長い休みはの所にもどれる犬…そして…その頃までには の犬嫌いが克服できてるかどうか…事件解決までにはまだ遠い… BACK |