1日ガイドさん |
「あれ?不二。は?」 決勝までの調整に学校へ集まる部員たち。1人でやってきた不二を見て英二がキョロキョロと辺りを見回します。 「手塚にでも聞けば?(ニッコリ)」 「…へ?…おーい。手塚ぁ〜。はー?」 「なら今日は休みだが。」 「え、何で!」 何事もなく言った手塚に英二は頬を膨らませ詰め寄ります。 「英二、ちゃんボランティアで疲れてるだろうからって休んでもらったんだよ。」 「えー。…ん?って事は何で不二はあんなに怒ってるわけ?」 最後はボソボソと手塚と大石に聞くと2人は揃って首を捻ります。 「手塚…後で覚えておいてよ。」 「…何の事だ。」 「が大阪人になったら一生かけて呪ってあげるから。」 「「「?!!」」」 さて。そんなの現在地。某タワーの最寄り駅。 周りには8人の男たち。 そう。千歳が思いつきで言った東京案内が現実のものとなっているのでした。 「姉ちゃん!最初どこ行くん?」 「…あれ?何かこの間より人数増えてる?」 てっきり誘った時のメンバーだけかと思ったら、新たに4人も増えている。 「金太郎さんに聞いたで〜可愛い女の子が案内してくれるて。 あ、アタシの事は小春って呼んでねvvほら、ユウくんも挨拶しなきゃ。」 「…一氏ユウジや。小春は渡さへんで。」 「?」 「もー。ユウくんってば。あ、ちゃん後でバンダナくんの事色々イロイロ教えてね♪」 「浮気か!!」 2人のやり取りに呆気に取られるの肩がトントンと優しく叩かれる。 「石田銀と申します。弟の鉄がお世話になったそうで。」 「あ、不動峰の石田くんのお兄さん。こちらこそ不動峰の皆には練習試合とか組ませてもらってうちも助かりました。」 銀を見て思わず拝みながら頭を下げるに謙也や白石が吹き出すように笑っている。 「ほら、財前。お前も挨拶せえ。」 「…財前光です。」 謙也に言われしぶしぶ頭を下げた財前を見ては心配そうに声をかける。 「昨日の試合でもしかして疲れてる?私大した所案内できないからもし疲れてたらホテル帰って休んでても大丈夫だよ?」 「別に大丈夫っすわ。」 「ホント?疲れたらすぐに声かけてね。」 「…。」 やけに財前を心配するを見てに構ってほしい金太郎がの腕にしがみつく。 「姉ちゃーん。何でそんなに光の事心配してるん?」 「さっき小春くん達に挨拶されてた時にため息ついてたから昨日の疲れが取れてないのかな?と思って。」 「ちゃんよく見とるな。」 「だってマネージャーだし。あと…うちにもそうやってため息つく子がいるから。」 はふふっと軽く笑いますが四天宝寺は誰の事かわからず首を捻ります。 「先輩多いと無理やり連れてこられたりするんだよね〜。」 「あーまぁ…。」 「財前、そこは否定しろや。」 「別にホンマの事なんでええやないですか。けど…」 と、財前は言葉を切ってを同じぐらいの高さからジッと見る。 「?」 「ま、しゃーないスわ。」 「??」 小さく笑う財前を見ては首を捻りつつ笑い返す。 「…財前の奴…もうちゃん狙い始めたで。」 「さすが天才ルーキーたい。けど負けられんばい。」 「ホンマ彼女が他校生キラーって呼ばれんのも無理ないわね、ユウくん。」 「俺は小春にちょっかい出さへんならどーでもええけど。」 「大変やな、あの子も。」 「姉ちゃん!はよタワー登ろうやー!」 「あ、そうだね。それではご案内します♪」 はエレベーターガールのように手を上げ先頭に立ってタワーへ向かって歩きだした。 「おー!めっちゃ高いやんけ!」 「まるで人がゴミのようやな。」 「正に人混みって所ねv」 「オモンないっスわ。」 タワーの展望台まで来るとはガラスの方へは行かずにはしゃぐ四天宝寺メンバーを見ている。 「はここ来た事あるとね?」 「あー…どうかな?小さい頃にあるかもしれないけど。」 「ならこっちで一緒に景色ば眺めんね。」 千歳がさりげなーくの手を取って望遠鏡がある方へ行こうとするががその位置から全く動かない。 「…?」 「…私ここで大丈夫だから見て来ていいよ?」 「どないしたん?ちゃん。千歳に何かされたんか?」 今度は白石が肩を引き寄せ千歳から引き離すが、 はニッコリ笑って白石と千歳を騒いでいる金太郎の方に押しやる。 「ガイドさんは遠くから見てるのが仕事。普段こんな高さから見る事ないんだから見て来ていいよ?」 「「…。」」 ここで無理やり連れてって嫌われるわけにもいかない。2人は素直に騒いでいる金太郎を静かにさせにいく。 「ちゃん高いトコ怖いんやろ。」 「うっ…。」 がビクっとして後ろを向くと小春と一氏の姿。もちろん最初と同じくくっついたまま。 「…何でわかったの?」 「ふふvvアタシの情報量なめたらあかんで。」 「さっすが小春〜。」 「…ナイショね。カッコ悪いから…。」 はシーっと口に指をあてます。 「…何なんスかあれ。」 「ユウジはともかく小春の奴仲良くしすぎとちゃうか?」 「オカマはあなどれんばいね。」 「いや…オカマは基本女の子に好かれやすいで。さすが小春…そこを武器にしとるわ。」 「…いや武器にしとるも何も小春はあれが素やろ。」 あーだこーだとについて話し合う先輩を見て財前はため息をついての所に向かう。 「あら、財前ちゃん。どないしたん?」 「…さん。」 「どうしたの?」 財前はの手を取ってスタスタと景色が見える方へ向かおうとする。 「え、え、ちょっと待ってってば。」 「怖いスか?」 「…。」 財前は目をそらすを見て静かに言う。 「落ちるんなら俺も一緒に落ちますわ。」 「………。」 「それでもまだ怖いスか?」 「…………………ぷっ。」 真剣な顔で目を見つめられは耐え切れず吹き出してしまう。 「……今のボケとちゃいますけど。」 「ゴメンゴメン。でもありがとね。」 がニッコリ財前に笑うと財前は照れたように横を向いてしまう。 その一瞬の空白を狙ったかのように金太郎がの手を取ってグイっと引っ張る。 「姉ちゃん!あっちにアイスあるで!アイス食おーや!」 「ホント?じゃあアイス食べに行こうか。財前くんも行く?」 金太郎が掴んでない手と反対側の手を取って財前はニっと笑う。 「奢りスか?」 「財前くんってちゃっかりしてるって言われるでしょ〜。」 1年2年にオイシイ所を持って行かれた一部の3年生は唖然。 「ちゃんは年下に弱いって聞いとったけど…ホンマに全部持ってかれてるわねぇ。」 「…金ちゃんはともかく財前は完全に狙う気満々やろ。」 「…このままじゃアカンな…俺のプライドにかけて!」 「…何やねん、それ。」 「…何とかせんといかんばいね。」 「大変やな。あの子も…。」 展望台の下でやっている展示コーナーも一通り見て、ようやく下に降りてきた一行。 結局3年生は悉く1,2年生にオイシイ所を持っていかれいつになくお疲れの様子。 「大丈夫?皆やっぱり昨日の準決勝で疲れてたんじゃない?」 「だらしないっすわ。先輩たち。」 「…お前なぁ!」 しれっとの隣をゲットした財前がバカにしたような呆れた口調で言うと その隣にいた謙也が頭をぐしゃぐしゃにかき回して逆襲する。 「ちゃんもう遅いから俺が送ったる」 「えー姉ちゃんもう帰るん?もっと遊ぼーやー!なーなー!」 「でも明日は部活もあるし、皆も休まないと。また今度遊ぼ?」 「…絶対やでー!約束約束!」 金太郎が指切りをし終わったのを見計らって白石がもう一度チャレンジ。 「ちゃん、家まで送ろか?」 「でも白石くん部長でしょ?ちゃんと皆を連れて帰らないと。」 「そ…そやな。」 「あーあ。蔵りんも可哀想に。」 「しゃーないやろ。金ちゃんうろちょろするん見なアカンしな。」 「結局金ちゃんと光のせいで俺ほとんど喋ってへんのやけど。」 「いや俺のせいにされても。せやから先輩はヘタレなんすわ。」 「何やと?!」 「白石はん、先ホテルに帰っとってくれへんか?実家に寄ってから帰らせてもらいます。」 「あー・・・銀はこっちが実家やったな。オサムちゃんには言うとくわ。」 「石田くん実家に行くの?じゃあ駅まで一緒に帰ろう。」 「「「「????!!!」」」」 「ほな、お言葉に甘えてご一緒させていただきます。」 「じゃあ皆またねー!決勝ちゃんと青学応援してねー!バイバーイ!」 「姉ちゃーん!まーたなー!」 「…アカン。俺こんなオチ認めへん。」 「銀にその気がなくてもこれはどうなんやろ。」 「いや師範に限って…。」 「でもちゃんの他校キラーっぷりは伊達やないし…どうなるか楽しみね♪」 「俺は小春が楽しければ何でもええけど。浮気する以外は。」 「…ほんま先輩らめんどいっすわー。」 そして次の日大阪人と一緒にいたせいで要所要所に関西弁が出て本気で不二から呪われそうな手塚がいたのでした。 |