最終話 エンディング |
「!」 「先輩!」 「…ん…?あれ!?ここどこ!?」 が身体を起こすと目の前にはレギュラー陣の心配そうな顔とホッとした顔。 「だいじょぶー?おチビが優勝した瞬間に倒れたんだよ?」 「え、嘘!」 「先輩俺の事見てるって言ったのに最後見てないじゃないスか。」 「見てたもん。見てたけど、何か途中から目の前が白くなってきてね。」 「ちゃん、それ熱射病じゃないの?」 河村に言われてふと記憶をたどる。 「…そういえばあんまりお水飲んでなかった気がする。」 「…完全に熱射病だな。」 「マネージャーなのに自分の体調管理後回しにしたらダメだよ。」 「心配かけてゴメンね。…あと。優勝おめでと!」 がニッコリ笑うとつられて心配そうだったレギュラー達も笑顔になる。 「お祝いにケーキ焼こうかなー。」 「のケーキ食べたい!」 「俺も食いたいっス!」 「よし。じゃあ何のケーキにするか考えなきゃ!」 優勝してもいつものワイワイガヤガヤとした雰囲気。 ただ1つ。不二にはに対する疑問があった。 「。」 「どしたの?周助。」 帰り道。二人で家路を目指して歩いている最中に不二はその疑問をぶつけてみた。 「…今日何かおかしくなかった?」 「えー?そうかな。うーん…ドキドキしてたしちょっと怖かったりもしたから静かだったかもだけど。」 「そうじゃないんだけど…しきりに最後だって言ってたんだよね。」 あと不二の見間違いでなければ一瞬の姿がなくなった時があった。 リョーマの試合で試合終了のコールがかけられた時だ。 たぶん気づいているのは自分だけなはず。周りの誰にも聞いてはないがその核心がある。 「でも最後でしょ?今日で中学最後の試合だし。」 「そうなんだけど…。」 家に着くと門の前に車が1台止まっている。不二は見慣れない車だった。 「あれ?お父さんの車だ。」 「え?」 「確かに夏休み中には1回来るって言ってたけどもう来れたのかな。」 「お父さんって…誰の?」 「周助どうしたの?私のお父さんに決まってんじゃん。」 は不二が実験中に違う世界から呼び出してしまって一緒に住む事になった。 元いた世界の記憶が消えた時に両親の記憶もなくなったはず。確かにそのはずだった。 「ただいまー!あ、やっぱりお父さんもお母さんも来てる。今日試合だって言ったのに。」 「ゴメンゴメン。今日しか空かなかったんだよ。」 「周助くん、いつもちゃんの面倒みてくれてありがとう。」 「あ、いえ…。」 不二家のリビングで不二の母の目の前に座っている二人。 一目で何となくわかった。が二人の面影を持っていたから。 「周助、ちょっといらっしゃい。」 「姉さん。」 由美子に呼ばれて部屋を出ると全てわかっているかのように由美子は複雑そうに微笑んだ。 「ちゃんはこっちの世界に居続ける事を選んだのね。」 「どういう事?」 「ちゃんは本来この世界にはいないはずでしょ?だから両親の話もしなかった。 だけど、選んだ事でひずみが生じたの。だからちゃんはこの世界に本来いる人になったのよ。」 「じゃああの二人は?」 「ちゃんの本当の両親って言っていいと思うわ。」 「…姉さんは気づいてたの?」 確かに昨日由美子も最後という言葉を発していた。 わかっていたのだろう。今日が選択の時だという事を。 「ちゃんは親戚であるうちに預けられていた。 ご両親はちゃんが高校に入学する時に東京に帰って来られるのよ。」 「じゃあ…。」 「そうね。中学までうちで預かる事になってるみたいだから。寂しくなるわね。」 「そっか…。でもがいてくれるなら僕はいいけど?」 「そう言うと思ったわ。」 由美子はニッコリ笑って不二の肩を叩いた。 「運命って不思議ね。全てが繋がっているようで1つの選択によって大きく変わるのよ。」 「姉さんが言うと色々怖い気がするけど。」 「どういう事かしら?」 「…ほら、その笑顔。」 「人の事言えないでしょ?私知ってるのよ?周助が普段どれだけ黒い笑顔振りまいてるか。」 「…発信源はか。」 「頑張りなさい周助。選択の時はこれからだって何回も来るのよ。」 「わかってるよ。」 「周助ー。由美子さーん。お母さん達が買ってきたケーキ食べよう?」 リビングからひょっこり顔を覗かせたは…何だかいつもより子供っぽく見えた。 それも1つの選択をしたからなのだろうか。 「、好きだよ。」 「…どしたの?あ。そんな事言われてもケーキ選ぶのはジャンケンだからね!」 「ふふっ。そういう反応するのもやっぱりだよね。」 「えーどういう事?」 「何でもない。」 「えー由美子さーん!周助がおかしいんですけど。」 「あら。周助はいつもおかしかったんじゃない?」 「ちょっと姉さん。」 「あ、それもそうか。」 「?覚悟しておいた方がいいんじゃない?」 「…嫌だ!」 ぴゅっとリビングに引っ込んだを見て不二と由美子は二人して笑う。 これもまた1つのエンディング。 選択をした事すら記憶には残らないけど、どちらの選択をしても自分が幸せでいられればそれでいい。 まだまだこれから何回も出会いがやってくる。 それは女の子誰しもやってくる運命だから・・・ A girl meets Genius boys END |