最終話 エンディング


ちゃん!ちゃん!」
「…うーん…ん?あれ?」

は目を覚ました。目の前には無造作に並んでいる本やノート。
は机の上に突っ伏して寝ていたのだった。

「…あれ?ここ決勝のコートじゃないの?」
「…夢?ちゃん、もうご飯だよって何回も呼んでたんだけど。」
「…あ、そうなんだ。家だったんだ。」
「マジでどーしたの?っていうか早くしてくんない?お腹減ったんだけど。」
「うん。ゴメンね、おみゆ。」

するっと言葉が出てきた。
を呼んでいたのは妹。そしてここはの家。

「…夢…だったんだ。」

ぼそっと呟いた言葉に妹は肩をすくめて部屋を出て行った。

「何かいー夢だったなぁ…まさにドリームじゃんね。後で忘れないうちにメモっておこう。」





その日の夜からは小説を書き始めた。
ヒロインの設定を自分におきかえ…もちろん良く脚色して。





そうして出来上がった小説が
A girl meets Genius boys





そして10年の時が経つ
の中にはもうテニスの王子様の世界に入っていた記憶はもうない


だけれども最後の記憶だけはあった。
最後皆と一緒にリョーマが勝った瞬間を見た記憶が。



喜びは分かち合えなかった。
だけど、原作の最終話を読んだ時。
新シリーズが始まった時。


自分がその世界にいるような錯覚に陥った。


だからきっと心のどこかで繋がっている。
そう思うと少しだけ元気が出て幸せになれる。


「ありがと皆。大好きだよ。」


A girl meets Genius boys


女の子は誰しも出会える運命を持っている
その運命を作り出すのもまた1つのお話・・・・





END