満天の星空


「…どうしよう…眠れない…。」

それもそのはず。電気をつけたばかりに網戸には蛾の大群。

「…さすがに今はついてない…か。」

追っ払ってもらったものの…恐怖で目が冴えてしまったようだ。

「ちょっと散歩してこよーっと。」

もちろんの隣の部屋には4人の部屋。

「あれ?どっか行くみたいだよ。」

「トイレじゃないスか?」

「もしかして眠れないのかな?」

「俺見てこよっかなぁ〜。」

英二はぴょんと飛び上がろうと…して不二に襟を捕まれます。

「何すんだよ不二ー。」

「英二1人になんて行かせないからね?(ニッコリ)」

「…はい。」





は1人でぽつんと寮に併設されているグラウンドに立っています。

。」

「あ、ゴメン…物音で起こしちゃった?」

「どうしたんスか?」

「うん…やっぱり蛾が怖くて眠れない…。」

今も電灯の周りにはたくさん飛んでいるのですが…はあえて無視です。

「でもこんな所にいたら風邪引くよ?」

「でもね…星がキレイなんだよ…。」

が指差す夜空には…東京では絶対に見られない満天の星空。

「ひょえーーー…すっげー星…。」

「東京じゃこんなに見られないっスよね〜。」

「ここら辺は星がすっごくキレイに見えるんだよね〜。」

が上を向いたまま楽しそうに言います。

…?前にもここら辺に来た事あるの?」

「え…ないけど?」





でもさっきのセリフは…まるで前にもここに来た事があるような…





あえて口には出さずに心の中で呟く不二…。

「何かビニールシートでも持ってくればよかったなぁ〜。」

「何で?」

「ここに敷いて寝っ転がって星見るの。」

「じゃあ今もやればいいじゃないスか。」

「もうお風呂入っちゃったもん。無理だよー。」

は残念そうに呟きながらまた星を見上げています。

って星見るの好きなの?」

「うん。星見るのってすごい好き。部活の後とか癒されてた…。」

「夏の大三角形もキレイに見えるね。」

「…どこら辺だっけ?」

見てるのは好きだけど、基本的にどこにあるのかは知らないです。

「白鳥座のデネブとこと座のベガ、わし座のアルタイルだよ。」

「へー。周助詳しいね〜。」

「小学校で習ったからね♪」

そうだったっけ?と残り4人は記憶をたどろうと首を傾げます。





それからしばらく見ていましたが…さすがに眠くなってきました。

「…俺先に寝るっス。」

「桃…俺も行くよ。」

「それじゃあ僕も寝ようかな…。」

珍しく不二も折れています。練習疲れもあるのでしょう。

「…英二は?」

「…ん…俺はまだ…だいじょ…ふあ〜ぁ…。」

大丈夫と言いながらの大あくび。はクスクスと笑いながら英二の方を見る。

「やっぱり寝ようか。私も明日は朝からご飯作らなきゃだし。」

「…だにゃ…。」

結局5人で仲良く寮に帰り…も一緒に雑魚寝したのでした…。





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