王手をかけられた挑戦者


「大石!英二!お疲れ様!」

「負けちゃったにゃ〜・・・。」

「スマン・・・シングルス3人がキツクなったけど・・・。」

英二と大石がコートから申し訳なさそうに帰ってくる。

「英二、こっちおいで。」

?」

「頭打ったんだから冷やしてあげる。」

はD1の結果のコールがされてから急いで救護室へ行って英二のために氷をたくさんもらってきたのだった。

「どの辺打ったの?」

「あ〜もうちょい左。」

英二の後ろに座ってるに氷を当ててもらう英二。

・・・ちょっと泣いてるかと思った。」

「え?」

英二が急にくるっと後ろを振り向いてに言った。

は試合の時一番カンジョーイニューしてんじゃん。」

「・・・英二ちゃんと言えてないよ?」

「う、うるさいなー!」

クスクスとに笑われ真っ赤になりながらぷいっとそっぽを向く。

「ゴメンゴメンって。でも今だってさっきだって感情移入してたよ?」

「そーだと思ったけど・・・泣かなかったからエライなって思って。」

「だって・・・一番悔しいのはやってる皆だもん。」

・・・。」

「だから、私はちゃんと笑顔で迎えてあげるって決めたの。」

そう言ったの顔は何だかいつもより大人っぽくて・・・。

ーー!」

「英二!?」

思わず英二はギューっとに抱きついた。

「英二・・・ケガ人は大人しくしてようね?(ニッコリ)」

「いてっ!」

不二はがビックリして落とした氷を英二の頭の上ににドンと乗せた。

「こら、周助!」

「だって、ケガ人なんだから暴れたら悪化しちゃうよ?」

「不二にされた方が悪化するじゃんか!」

恒例36コンビのをめぐるケンカ。これはほっとくのが一番いい。

「大石、リョーマは?」

「越前ならそこに・・・・あれ?」

「また試合中にどっか行ったの?しょうがないなぁ〜・・・。」

次の乾戦が始まるまで後数分。はリョーマを探しに行く事に決めた。







が探しに出た頃、立海の副部長真田弦一郎は部長の幸村精市に電話をしていた。

「予定通り勝ち進んでいる。心配無用だ!」

『そうか!!こっちも予定通り手術を受ける事になった。・・・もう迷いはない。』

「・・・手術前にはそっちへ向かう。関東優勝の土産を持ってな!」

ピッと電源を切った真田の横をファンタの缶が飛んだ。

「ねえだいぶ試合急いでるみたいだね。」

「お前の知った事ではない。よしんばそうでなくとも、次の試合で優勝が決まる。」

そしてふと真田は疑問に思っていた事をリョーマに問いかける。

「お前は・・・本当に赤也に勝ったのか?」

「さあ・・・あまりよく覚えてない。負けてたのは覚えてるケド・・・(ブツブツ)」

「(なる程・・・無我の境地か。)まあお前のその鼻をヘシ折れなくて残念だ。」

「リョーマ!そろそろ乾の試合が・・・・」

はリョーマの姿の向こうに真田の姿を見つけ立ちすくんでしまう。

「ねえ・・・青学をあまりナメない方がいーよ。・・・ね、先輩。」

「あ、うん。」

その言葉には答えず真田は歩いて行ってしまった。

「リョーマ、だいじょうぶ?何もされてない?」

「大丈夫っスよ。それより先輩・・・。」

「何?」

「俺達は絶対負けないっスよ。」

「わかってるよ〜。」

実は真田の姿を見て少しだけ不安になってしまったをリョーマは見抜いていた。

「さ、乾がコート行っちゃう前に声かけてあげなきゃね。」

「ちょ、先輩!そんな引っぱらなくても・・・。」







「あ、一歩遅かった。」

〜不二がいじめる〜〜。」

「はいはい。」

英二がに抱きついてくるがの意識はもうコート上の乾に向いていた。





「データは集まった・・・・・・・・・。」

膨大な相手のデータを書いた分厚いデータノートを作った乾。
その勝負の行方は・・・・・・データマンでも解析不可能な試合となる・・・。





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