旅立ちの時


「本当に居なくなっちまうんだ手塚部長・・・・・・肩の治療の為だけど九州へ行っちゃうなんて・・・・。」

「確か宮崎に青春学園大附属の病院があるんだよね。」

「マジ手塚部長抜きで関東大会大丈夫かなぁ。もう帰ってこないのかな・・・。」

1年生トリオが話している部室へが入ってきた。

「あれ?3人ともまだいたの?そろそろ集合かかるよ?」

「あ、先輩。今行きますから。カチローカツオ行くぞ!」

「「うん。」」

は3人が出て行ったのを見送るとホワイトボードを見た。

「16:30に空港か・・・・ハァ・・・・。」

はふと隣の鏡を見るとものすごく悲しそうな顔をしてる自分が映った。

「あ〜ダメだダメだ!頑張れ私!今日は笑顔で送るって決めたんだから!」

はパンパンとほっぺたを手で叩き気合いを入れて笑顔の練習を始めた。







時を同じくしてその頃部長副部長コンビに1,2年トリオがはめられようとしていた。

「越前!さっき大石と手塚が西門の方で捜してたぞ。」

「ども・・・・何スかね?乾先輩。」

「・・・・さあ。俺のデータにぜひ加えるべき事だろうけどな。」

リョーマが西門に行くとすでに手塚と大石がいた。

「・・・手塚、正直お前が居なくなるとおもうと不安だよ。俺なんかに部がまとめられるかどうか・・・
それにお前がS1に居てくれたお陰で皆安心していつものプレイが出来てたのも事実。」

「・・・・・・・・・・・」

そんな大石のリョーマは無言で影から聞いている。

「越前も強いけどぶっちゃけお前の1年の時の方が凄かったよな!」

「(ピクッ)」

「そうそうアレ。凄かったよな。落ち葉に当てるアレ。落ちてくる葉っぱにサーブを宛てるやつ。
26枚連続で当てた記録はもう誰にも破られないだろうなあ・・・・さあそろそろ行こうか!」

一方的に大石が話しまた手塚と大石はどこかへ行ってしまった。

「ふーん・・・・にゃろう。」

リョーマを燃え立たせるには一方的に話していた大石の一言で十分だった。





つづいて正門付近では・・・・

「何スかね〜?部長と副部長が呼んでるなんて。いいハナシっスかねぇ・・・。」

桃が鼻歌を歌いながら正門付近に行くと・・・・2人だけではなくもいた。

「お、先輩もいるじゃん。部・・・・。」

「桃城のヤツもパワーアップしたけどまだ関東を勝ち抜くにはなあ・・・。
ぶっちゃけ2年の頃のお前のパワーの方が上だな。」

「へ〜そうなんだ。だって今でもタカさんとか桃にパワー負けないもんね!」

「(ぬぬっ!)」

大石の一言に加えの一言もあり桃はメラメラと熱くなった。

「ただやみくもに筋肉をつければいいという訳ではないよな。
もっと体全体を使って腰の回転で打てればなあ・・・・。」

「そうよね。いくら筋肉ついてても腰の動きとかでもっと力出せるもんね。」

「そうそう手塚・・・アレ凄かったよな切りカブを倒すアレ!お前ボール当てて
この切りカブ倒せるんだもんな。俺も何度も挑戦してみたケドビクともしないぜ。」

「えぇ!?この切りカブって倒せるの?」

は両手でもって揺すろうとしたがあまり動かない。

「こんなの私普通に動かすだけでも大変なのに・・・さらに倒すなんて・・・・。」

そう話しながら3人は行ってしまった。

「ほう・・・・・・・・・。」

ドゴッボゴォ!大石との言葉に触発されさっそく倒しにかかる桃だった。





ちゃんさっき最後は素で驚いてたね。」

「でもだって〜普通に私手で倒せないぐらいじゃん。凄いね〜手塚。」

「よしっ次は東門付近へ海堂を・・・・ちゃんまた頼むな。」

「OK!」

「大石・・・・ボウリング以来性格変わったな・・・・。」

そして肯定も否定もしない大石だった。やっぱりブラック全開だ・・・。







「結果的に皆に迷惑をかけてしまった。すまない。」

in空港。手塚はそう言ってぺこり(こんな可愛い音ではないけど)と頭を下げた。

「関東大会勝って全国への切符を必ず手に入れとくから。」

「あーー!そう言えばおチビ来てないじゃん?桃と海堂もだ。あいつら〜っ。」

「アイツらがきっと・・・・・お前の穴を埋めてくれるはずさ!」

「ほら、も何か言ったら?」

さっきからずっと下を向いていたに不二が見かねて声をかけた。

「あ・・・・手塚・・・・その・・・・・九州行ってもさ・・・・。」

「何だ?」

「いっぱいメールとか電話とかするからね!ちゃんと答えてよ?」

はさっき練習したのだろうかとびっきりの笑顔で言った。

「あぁ、楽しみにしているぞ。」

手塚も少しだけ微笑んでの頭をぽんぽんと叩いた。





「早く帰ってきてね。手塚・・・・・。」





手塚の旅立ちの時は青学も旅立ちの時。手塚が帰ってくる頃には
皆が今よりももっともっと強くなって出迎えてくれるはず・・・・・。





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