とっておきの切り札


「うおおーーっ本当にあの手塚に勝ったぁーっ!!さすが跡部部長だ!」

「氷帝氷帝っ氷帝氷帝っ!!」

「氷帝!氷帝!氷帝!氷帝!」

頂上対決を制した氷帝サイドは応援もさらに盛り上がる。

「手塚・・・・お疲れ様・・・。」

「あぁ・・・すまなかった。」

大石に肩を支えられコートから青学ベンチに戻って来た手塚。

「手塚・・本当に本当にお疲れ様・・・・。」

・・・泣くな・・・。」

「うん・・・・でも本当に本当にカッコよかったよ。」

「あぁ、ありがとう。」

手塚は涙を流すの頭をぽんぽんと軽く叩いた。

「越前・・・2ヵ月前に高架下のコートで言った事覚えているか。」

「はい。」

手塚のその言葉にリョーマは帽子を深く被ったまま頷く。









『全国に強い奴はたくさんいるぞ。』

『アンタより・・・?』

『自分で確かめてみるか?ならば越前・・・青学の柱に・・・柱になれ。』










「リョーマ。がんばってね。」

先輩、俺の時は泣かないで見ててよね。」

「う・・・うん。がんばる。」

はグッとこぶしを握って見せ泣き腫らした目で笑って答える。

「じゃないと、俺の戦ってるとこ見れないじゃん。」

「そうだね!じゃあがんばって!」

パチンととタッチしてからリョーマはコートに向かう。







『氷帝VS青学の試合2勝2敗1ノーゲームにより第6試合を行います』

「日吉、出番だ。行ってこい!」

榊太郎(43)は控えの以前正レギュラーに入りそうだった準レギュラー日吉を呼んだ。

「奴らは最後まで侮れねぇ!!お前なら大丈夫だと思うけど絶対勝て!!いいな!!」

「わかりました。」

「日吉・・・1年相手だろうと気を抜くなよ。」

宍戸の正レギュラー入りに納得してないせいかその言葉にカチンとくる日吉。

「当然でしょう。」

熱くなっている氷帝レギュラーをよそに日吉はただただ冷静だった。

「やったーっここで日吉さんが出てくるなんてさすが氷帝だぜ!」

「シングルスでは鳳にも勝っている氷帝の次期部長候補だ!!」

氷帝ベンチは跡部の勝利と日吉の登場でさらに盛り上がる。







所変わり入り口近く。黒い軍団が情報を耳にした。

「おい聞いたか?第1コートでやってる氷帝VS青学。5試合全部

終わったのに2勝2敗1ノーゲームで控え選手の対決になるらしい。」

「なら部員数200人を誇る氷帝が断然有利だろう。控え選手の層が厚すぎる。
それに引き換え青学の控え選手は何でも1年生らしい

「うそっマジ1年生かよ。カワイソー。」

橘を始め不動峰の選手はそれを聞いて1人の選手を思い浮かべた。

「(越前・・・・リョーマか・・・・。)」







一方、立海大がいるベンチでは真田が険しい顔でコートを見ていた。

「たるんどる。」

「よっぽど真田副部長自分で倒したかったんスね・・・。」

「シィーッ!あの氷帝の日吉といえば新人戦でお前といい勝負してた奴だろ?」

「そーでしたっけ?」

切原はへらへらっと笑って柳を見た。

「とぼけやがって・・・来年の氷帝軍団を率いるのは間違いなく奴だ!氷帝の監督とんでもない切り札を隠してたようだな!」





青学の切り札対氷帝の切り札。今ここに戦いの火蓋は切られるのだった。





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